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【ビジネスで注目】DXとは?具体例を元にわかりやすく解説

いまビジネス関連で注目を集めているキーワードは「DX」でしょう。多くの企業がDXへの取り組みを求められていますが、正確にその意味を答えることはできるでしょうか。IT化との違いをはっきりと解説することはできるでしょうか。IoT、AI、5G、クラウドコンピューティングなど、DXに関連してさまざまな話題が上がりますが、どのようにDXと関係しているのかを説明するのは、ちょっと大変です。

本稿では、DXとはどういうものなのかをわかりやすく解説します。気になる話題があれば、さらに掘り下げて調べてみてください。

DXの簡単な解説

まずここではDXの定義や、DXの手段であるデジタル化やデジタライゼーションについて見ていきます。デジタル化やデジタライゼーションはDXの目的と混同されがちなため、DXの目的と手段もここで今一度確認しましょう。

DXとはデジタルで変革をすること

DXとは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略称のことで、デジタル技術によってビジネスモデルをはじめ業務や組織などに変革をもたらし、企業の競争力や企業価値を高めることをいいます。

ちなみにDigital Transformationの略称がDXになるのは、英語圏でTransをXと略すためです。

単にデジタル技術を利用するだけではDXとは言いません。例えば、出勤時に使っていたタイムカードによる打刻を、インターネットの勤怠管理サービスに変更しても、それはデジタル技術の導入に過ぎません。業務の効率化はとても重要ですが、いま求められているDXとは大きな隔たりがあります。

DXにおけるデジタル技術は、あくまでも手段に過ぎません。デジタル技術は、新しいビジネスモデルの創出や変革などの目的を達成するためのものなのです。

DXとデジタル化との違いとは

DXの目的は、新しいビジネスモデルの創出や企業変革を通して、市場での優位性や企業価値を高めていくことです。デジタル化はその手段に過ぎないため、社内のデジタル化を進めただけで、DXを成し遂げたような気分にならないように注意しましょう。

DXの取り組みは、アナログ情報をデジタル化し、業務などのプロセスをデジタル化するデジタライゼーションを経て少しずつ段階を踏んで実現できるものです。

デジタル化とは、アナログで行ってきた個別の業務をデジタル技術を導入して、効率化を図ることを指します。これは、IT化やデジタイゼーションという言葉とほぼ同義です。具体的には例えば、紙の書類でのやりとりを電子書類化していつでもどこでもやりとりを可能にしたり、電話での応対をAIによるチャットツールや自動応対に置き換えたり、各種申請や承認の手続きを人の作業からデジタルツールによって自動化したりといったことが挙げられます。

デジタライゼーションとは、部署間もまたぐような全体のプロセスをデジタル化して、ビジネスモデルを変化させ新たな価値を創出することを指します。デジタル化やデジタライゼーションとDXの目的を混同しないようにしましょう。

 

DXの背景と現状

DXは経済産業省を中心に、日本の産業界全体で推し進められています。なぜこれほどまでにDXが注目されているのか、実際に日本での企業のDX推進状況はどうなのか、DXの背景と現状を見ていきましょう。

なぜDXが注目されているのか

いまDXに注目が集まっているのは、2018年に経済産業省が発表した

「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」

がきっかけです。このレポートでは、企業のDXをはじめとする課題がこのまま解決されない場合、2025年以降、最大12兆円の経済損失が毎年生じる可能性があると指摘されています。こうした危機感がDXへの注目を高めているのです。

また、スマートフォンや交通ICカードの普及によって注目を集めたビッグデータ、高速・低遅延でさまざまな分野での応用が期待される5Gなど、次々と登場するデジタル技術がDXへの後押しをしています。

今後、多くの企業がDXを推進していく中、自社だけが取り組まないという選択肢はないと言ってもいいでしょう。他社がDXに取り組み、自社が取り組まなかった場合、消費者のニーズや市場の変化についていかなかったり、旧態依然としたシステムの維持がコストとしてのしかかったりして企業の競争力が落ちていきます。

そもそもDXを構成するのは、デジタル技術を使った業務改善、効率化です。これらの積み重ねがやがて、新しいビジネスモデルの創出へとつながるのです。DXに取り組まないのは、企業の成長を止めてしまうかもしれません。

まずはできることから始めることをおすすめします。簡単にDXに取り組めるものを見つけ、計画的に取り組んでいきましょう。小さな成功を積み重ねていくうちに、全社を巻き込んだDXの取り組みへと発展させられるはずです。

 

日本企業のDX推進状況

「DX 推進指標 自己診断結果 分析レポート(2021 年版)」

から、2021年にDX推進指標の自己診断結果を提出している企業の傾向を見てみると、従業員数規模や売上高規模によらず提出企業数は増加し続けており、日本全体でDX に取り組む企業数は増えています。

一方で、DXの取り組みは経営層と全ての従業員が一丸となって部門横断的に推進していく必要がありますが、DXに取り組んでいても、全社的に取り組めていない企業がほとんどであるという結果も出ています。

また、DX推進にはデジタル技術やデータ活用といったスキルを使いこなし、さらにそれを活用して自社や顧客の課題を解決する力を持った人材が不可欠です。しかし、DXに関する人材育成の戦略が立てられていない企業が多いということもレポートでは浮き彫りにされています。

DXを推進する企業は増えつつありますが、DXへの取り組みに対する共通のビジョンや認識が、一人一人の従業員にまで醸成されていなかったり、DXに関する人材育成がしっかりとできていなかったりという現状もあります。万全なDX推進を行っている企業はまだまだ少ないといえるでしょう。

 

DXの具体例

デジタル技術やデータの活用を通して、新しいビジネスモデルを創出して収益を拡大したり、市場での競争力を維持・向上したりとDXを実現して以下の企業の例を見ていきましょう。

  • Amazon
  • Uber

具体例1:Amazon

世界的なECサイトであるAmazonは、GAFAの一角を担う大企業です。利益の多くを開発に使っていることでも知られており、さまざまな新サービスを次々と展開しています。ECサイトとして有名なAmazonは、クラウドコンピューティングサービスのAmazon Web Service(AWS)を提供する企業としても有名です。

AWSは、ECサイトのためのインフラの技術革新から生まれました。いまでは日本だけでなく世界のクラウドサービスのシェア1位です。もしAmazonがAWSを始めていなかったら、それだけの売上がなかったことになります。AWSを始めたとき、まだクラウドコンピューティングがほとんど普及していませんでした。将来のニーズを捉えて技術革新に取り組んだ結果、Amazonは世界トップクラスの大企業になったのです。

具体例2:Uber

Uberは日本ではUber Eatsが有名ですが、もともとは配車サービスのUberを提供している企業です。Uberはユーザーがアプリで行きたい場所を指定して配車を依頼すると、ドライバーを手配してくれるサービスです。ドライバーは自分が所有する車を使って、ユーザーを指定した場所へと運びます。スマートフォンが普及していく時代にマッチした、新たな交通サービスを提供したのです。

Uberはデータを活用してサービスの質を高めています。その一つがユーザーの評価です。評価の高いドライバーを優先して配車の案内が届くので、ドライバーは評価を下げないように品質の高いサービスを提供する必要があるのです。Uberはこのようにしてユーザーの安心を獲得しつつ、サービスの品質を高め、多くの国で高いシェアを獲得しています。

 

DX実現のための3つのポイント

ここではDX実現のために重要になる以下の3つのポイントについて、それぞれどのような点を考えて取り組むと良いのかを解説していきます。

  • 戦略
  • デジタル技術
  • 人材

1.戦略

DXへの取り組みを始めるにあたって重要なのは、戦略的に進めていくことです。DXの担当者を決めてその人に一任してかけ声をあげるだけでは、社内の協力を得られず、失敗に終わってしまうおそれがあります。どのようにDXを進めていくか、戦略を立てていきましょう。

DXには段階があり、その段階を少しずつ進めていく必要があります。まずはアナログ情報のデジタル化(デジタイゼーション)です。例えば印刷・管理していた書類を、PDFなどのデータにして保管できるようにすることを指します。

次は業務のプロセスをデジタル化(デジタライゼーション)します。ツールを使ってハンコを押すような業務をなくし、デジタルで完結できるようにすることを指します。

こういった段階を経て、新しいビジネスモデルの創出や企業文化の変革を起こすことが可能になります。

着実にDXへの段階を進められるように、何のためにDXに取り組むのか、どのようにして取り組むのか、費用や期間はどれくらいかけるのかなどをまず考えてみましょう。

2. デジタル技術

DXが進む背景には、新しいデジタルツールの登場やデジタルテクノロジーの日々の進化などが後押ししています。DXの実現で注目されている技術のなかでも、主なものを紹介します。

IoT

IoTとはInternet of Thingsの略称で、これまでインターネットと無縁だった機器をインターネットにつなげる技術のことです。インターネットにつながることで遠隔操作ができたり、現在の情報を送信したりが可能になります。またそれらの情報を集めて活用することもできます。

AI

人工知能のことです。AIでビッグデータなどの大量な情報を分類・分析して、さまざまな予測が可能になることを期待されています。

クラウドコンピューティング

インターネット上で利用できる仮想のコンピューターことです。インターネット上のリソースを使って開発などが可能になり、大量のデータを保存・処理するなど、物理的なサーバーでは困難なことも可能になります。

RPA

RPAとは、Robotic Process Automationの略称で、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業を、人間に代わって実施できるテクノロジーのことです。精算のチェック業務や作業指示書の作成業務などを自動化することが可能になります。

ビッグデータ

ビッグデータとは、人間では全体を把握することが困難なさまざまな種類や形式のデータを含む巨大なデータ群のことです。例えば、動画、音声、画像といったマルチメディアデータや Web上での行動履歴、購買履歴といったWebサイトデータなどがあります。

5G

高速かつ低遅延でのデータ通信を可能にする通信規格です。大容量のデータの送受信ができるほか、さまざまな機器がデータ通信を行うのに利用される予定です。IoTに貢献することが期待されています。

3. DX人材

DXを推進するにあたって、人材がとても重要です。人材にはデジタル技術やデータの活用のスキルが求められるのはもちろんですが、会社の業務内容や構造などの知識が豊富であることも求められます。というのも、DXを進める際にはそれぞれの企業に合わせたやり方を見つけることが大切で、どこから何を行うべきか検討するには、会社の業務全般を知っている必要があるのです。

特定の技術に精通している人材であれば、求人をかけて外部から集めることができます。しかし会社の業務に精通している人材は、社内から見つけるほかありません。

さらにDXは全社的に取り組んでいくことになるので、要となる各部署の管理職とコミュニケーションがとれる必要があります。また経営層に導入するデジタル技術の必要性を説明し、承認を得る交渉力も求められます。

このようにDXの責任者は社内から選出する必要がありますが、エンジニアやデザイナーといった人材は、外部から集めても大丈夫でしょう。

DX推進の仕方

 

ここからは、DXを取り組むにあたっての進め方の概要を解説していきます。

1. DX導入にあたって目標を設定する

DX導入にあたっては、まず経営者がDXを通してどのような価値を提供したいのか、どのような企業になっていきたいのか、といった目標を明確にすることが大切です。

なんとなくデジタル技術を企業に導入するだけでは、一部の業務をデジタル化しただけで終わり、ビジネスモデルや企業自体の変革を起こせないままDXが失敗に終わってしまうでしょう。経営者が目標を設定したら、一人一人の従業員たちがDXに対する共通の認識を持てるようにわかりやすい言葉で説明をし、DXに関するリテラシーを身に付けさせる人材教育も同時に行っていくことが重要です。

2. 必要なデジタル技術・人材などを洗い出し戦略を立てる

DXを推進するにあたって、目標を明確にしたら、実現に必要となるデジタル技術や人材を洗い出しましょう。

デジタル技術は必ずしも自社で開発する必要はなく、社外で販売されているツールのなかから、自社に合うサービスを探して活用するのも一つの手です。また、そのツールを導入するにあたっては、運用・管理できる人材も必要となります。社内に適任がいるかどうか、いないなら社外の企業に委託するのか、従業員に研修をして使えるようにさせるのかなども検討していきましょう。

DX推進には、社内で中心となって進めていくリーダー的な人材も不可欠です。中心となる人材は外注したり新しく雇用したりするよりも、すでに自社の業務への理解が深い従業員を教育する方が良いでしょう。

 

なお、リーダー的な人材は必要となりますが、DX推進にあたっては全従業員がその目標を認識して自分事化して取り組むことが必要です。経営層やDXリーダーには、従業員一人一人のDXに対する理解の促進もするよう指導していくことが求められます。

3. 社内でDXへの取り組み意識を共有する

どうしてDXを推進していくべきなのか、社内で共有することが重要です。パソコンの操作が苦手な人はできるだけデジタル化は避けたいでしょうし、これまでと業務の内容が変わってしまうことに不満を抱く人もいるでしょう。業務内容によっては部署が縮小してしまうこともあります。

そのため、DXで不利益を被ったり不安を感じたりした従業員は、推進に対して反対や非協力的な態度をとるかもしれません。そういったときに従業員に納得、協力してもらえるように、トップダウンでDXへ取り組む理由を共有し、意識醸成を行う事が重要です。一時的に不満を感じるようなことがあっても、最終的に自分たちの利益になることを説明できるようにしてください。またDXは長期的に取り組んでいくことなので、一度だけ説明して終わりにするのではなく、何度も振り返られるようにしておくことも大切です。

4. DX実現に向けての土台を作る

DX推進するにあたって、スムーズに進めるための土台を作ることも忘れないようにしましょう。DXに取り組むにあたっては、DXのための専門チームを設置するのが効果的です。

チームに入れるべき人材としては、まずはデジタル技術やデータ活用のスキルを持つ人材が挙げられます。また、全社一丸となって取り組むDXでは経営層や他部署との連携が不可欠で、社内の業務や事情に詳しい人やうまくコミュニケーションを取れる人、リーダーシップのある人なども必要となります。

さらに、専門チームが社内でDX推進をリードするだけではまだ不十分です。現場で働く一人一人の従業員も自社のDXについて共通認識を持ち、業務に取り組まなければいけません。そのためには、ある程度デジタルテクノロジーを使えるスキルを身につけさせる必要があります。同時に、それらのスキルを使いこなして自社や顧客の課題解決につなげられるようになるところまで、従業員を育成していくことも大切です。

5. PDCAを回しながら施策を実行する

DX推進にあたって施策を実行する際は、PDCAを回しながら行っていくことが大切です。PDCAとは、「Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)」の頭文字を取った言葉で、うまく事業を進めていくためのサイクルを表します。

PDCAを適切に回して行くには、DXの達成度を定量的な指標で測るKPI(Key Performance Indicator)の設定が必要です。KPIには、経済産業省が策定している「DX推進指標」が役に立ちます。「DX推進指標」は自社の現状や課題を把握し、次に行うべきアクションに気づかせることを想定した指標となっています。うまく活用して、PDCAを回しながら、DX実現に向けて取り組んでいきましょう。

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