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【2023年版】DX推進におすすめの補助金・助成金とは。活用事例も紹介

デジタル技術を活用し、ビジネスを変革するDX。企業の競争力を高める上で、近年、DXを積極的に推進していく動きが強まっています。しかし、資金に乏しい中小企業では、DXに取り組む意欲はあるものの、積極的に推進することが難しい側面もあるようです。
本記事では、DX関連に活用できる政府や自治体が実施する補助金・助成金をまとめて紹介します。これからDXを検討している企業は、ぜひ参考にしてください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXとは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略で、直訳すると「デジタル変革」という意味です。DXはデジタル技術を社会に浸透させ、人々の生活をよりよいものへと変革することであり、ビジネスの領域に留まらずより広義な意味を持っています。

DX推進に必要な要素

経済産業省は、2020年11月に、企業のDXに関する自主的な取り組みを促すため、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を「デジタルガバナンス・コード」として取りまとめています。また、2022年9月には、時勢の変化に対応するため必要な改訂を施した「デジタルガバナンス・コード2.0」を策定しました。

「デジタルガバナンス・コード2.0」では、DX推進に必要な要素を以下のようにまとめています。

① ITシステムとビジネスを一体的に捉え、新たな価値創造に向けた戦略を描いていくこと

②デジタルの力を、効率化・省力化を目指したITによる既存ビジネスの改善にとどまらず、新たな収益につながる既存ビジネスの付加価値向上や新規デジタルビジネスの創出に振り向けること

③ビジネスの持続性確保のため、ITシステムについて技術的負債となることを防ぎ、計画的なパフォーマンス向上を図っていくこと

④必要な変革を行うため、IT部門、DX部門、事業部門、経営企画部門など組織横断的に取り組むこと

(引用:経済産業省:「デジタルガバナンス・コード2.0 」)

DXにはコストがかかる

実際にDXを実施していくには、資金が必要です。具体的には以下のようなコストが想定されます。

①DX推進のための社内体制構築費
社内プロジェクトの立ち上げ、運用に関する経費
専門機関へのコンサルティング経費

②ITツール導入・開発費
機械装置や器具、専用ソフトウェア等の購入、構築、リースに要する経費
各種外注費

③DXに関する研究や市場調査にかかる経費
展示会出展、セミナー開催、市場調査等に関する経費

④IT人材の教育や採用にかかる経費
DXに関する研究に関する経費
事業の遂行のために必要な教育訓練に関する経費

実際にどのくらいのコストが必要になるかは、推進するDXの規模によって異なります。しかし、DXを推進するための補助金や助成金を活用することで、大幅なコスト削減が可能となるでしょう。

補助金と助成金の違い

補助金と助成金はどちらも事前に申請を行い、許可がおりた企業や個人に対して、資金的サポートが行われます。補助金と助成金、2つの大きな違いは「予算などの制約のある・なし」です。
補助金は国や地方自治体の予算による制約があるため、その範囲内で資金的サポートが行われます。一方、助成金は予算などの制約がなく、適用要件を満たすことで、助成を受けることが可能になります。

DXに使える国や自治体の補助金・助成金一覧

ここからは、DXに使える国や自治体の補助金・助成金を紹介します。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者のITツールの導入を支援する制度です。「IT導入支援事業者」と呼ばれる補助事業者がサポートを行い、登録済みのITツールを導入する取り組みが対象となります。

IT導入補助金には、「通常枠A・B類型」「デジタル化基盤導入枠」「セキュリティ対策推進枠」「ハードウェア購入費用(デジタル化基盤導入類型)」などがあり、それぞれ支給要件が異なります。

IT導入補助金公式サイトでは、現在2022年度の公募要領が公開されています。最新の情報は、IT導入補助金公式サイトでご確認ください。

【IT導入補助金2022】

IT導入補助金概要 ITツール導入事業者へのサポート
対象 中小企業・小規模事業者
条件 枠組み・類型により異なる
(2022年度は「通常枠」「デジタル化基盤導入枠」「セキュリティ対策推進枠」「ハードウェア購入費用(デジタル化基盤導入類型)」)
補助金額 一例:
通常枠・A類型(30万〜150万未満)
通常枠・B類型(150万〜450万以下)
デジタル化基盤導入類型(5万円~350万円)
複数社連携IT導入類型(5万円~350万円、50万円×参画事業者数など)
セキュリティ対策推進枠(5万〜100万円)
補助率 一例:
通常枠・A・B類型(1/2以内)
デジタル化基盤導入類型(5万円~50万円以下:3/4以内、50万円超~350万円:2/3以内)
複数社連携IT導入類型(2/3以内〜3/4以内)
セキュリティ対策推進枠(1/2以内)
ハードウェア購入費用(デジタル化基盤導入類型)(1/2以内)

(参考:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金2022」)

ものづくり補助金

ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」であり、中小企業や小規模事業者の生産性向上を目的とした補助金です。業種ごとに資本金や従業員の条件が設定され、生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資などを支援しています。

現在募集中の14次締切分(2023年3月時点)では、「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「グローバル市場開拓枠」などがあり、それぞれ要件が異なります。DX推進では、特に「デジタル枠」の活用が見込まれ、通常枠よりも高い補助率で支給を受けることが可能です。

ものづくり補助金を活用する際は、ものづくり補助金公式サイトから最新の公募要領をご確認ください。

【ものづくり補助金】

ものづくり補助金概要 生産性向上を支援
対象 成長や収益増加が見込める中小企業・小規模事業者
条件 資本金・従業員数(業種により条件が異なる)
補助金額 ※補助上限額は申請される枠・類型や従業員の人数によって異なる
一例:14次締切分
補助上限額750万円~5,000万円
補助率 ※補助率は申請される枠・類型や従業員の人数によって異なる
一例:14次締切分
1/2もしくは2/3

(参考:全国中小企業団体中央会「ものづくり補助金総合サイト」)

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会を見据え、思い切った事業再構築にチャレンジする中小企業や小規模事業者を支援する補助金です。新分野への展開や業態転換、事業・業種の転換などが想定され、DXを推進し大きな事業変革を目指す場合にも活用が可能です。「通常枠」に加えて、「大規模賃金引上枠」「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」などがあります。

事業再構築補助金公式サイトでは、現在第9回公募(2023年3月時点)が行われています。事業再構築補助金を活用する際は、最新の公募要領をご確認ください。

【事業再構築補助金】

事業再構築補助金概要 ポストコロナ・ウィズコロナ時代に対応した新規事業の展開や事業転換を支援
対象 中小企業等・中堅企業等
条件 ※枠組みにより別途補助対象要件あり
①新型コロナウイルス感染症によって売上が10%以上減少していることなど
②経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の認定認定経営革新等支援機関等と共同で策定することなど
補助金額 ※枠組み・従業員数によって異なる

一例:第9回
・通常枠(100万〜8,000万円)
・大規模賃金引上枠(8,000万円超~1億円)
・回復・再生応援枠(100 万円~1,500万円)
・最低賃金枠(100 万円~1,500万円)
・グリーン成長枠(中小企業者等:100万円~1億円、中堅企業等 :100万円~1.5億円)
など

補助率 一例:第9回
・通常枠
中小企業者等:2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業等:1/2(4,000万円超は1/3)
・大規模賃金引上枠
中小企業者等 2/3 (6,000万円を超える部分は1/2)
中堅企業等 1/2(4,000万円を超える部分は1/3)
・回復・再生応援枠
中小企業等 3/4
中堅企業等 2/3
・最低賃金枠
中小企業者等 3/4
中堅企業等 2/3
・グリーン成長枠
中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
など

(参考:中小企業庁「事業再構築補助金」「事業再構築補助金 公募要領 (第9回) 」)

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、さまざまな制度変更に直面する小規模事業者を支援するための補助金です。地道な販路開拓の取り組みや、それと併せた業務効率化にかかる経費が補助され、小規模事業者がDXを推進する場合に活用可能な場合もあります。

小規模事業者持続化補助金は、商工会管轄地域向けの「全国商工会連合会小規模事業者持続化補助金公式サイト」と、商工会議所管轄地域向けの「商工会議所地区小規模事業者持続化補助金公式サイト」があります。小規模事業者持続化補助金を活用する場合には、該当地域の最新の公募要領をご確認ください。

【小規模事業者持続化補助金】

小規模事業者持続化補助金概要 小規模事業者等の販路開拓や生産性向上
対象 小規模事業者等
条件 小規模事業者であることなど
補助金額 ※補助上限額は枠組みによって異なる

一例:第11回
・通常枠(50万円)
・賃金引上げ枠 (200万円)
・卒業枠(200万円)
・後継者支援枠(200万円)
・創業枠(200万円)
・インボイス枠(100万円)

補助率 一例:第11回
2/3(※賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4)

(参考:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金<一般型>公募要領」)

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、派遣労働者など非正規雇用労働者の企業内キャリアアップを後押しするための制度です。正社員化や賃上げなどの取り組みを実施した企業に対しての助成金で「正社員化支援」と「処遇改善支援」があり、それぞれに助成要件が定められています。DX推進のために人員体制を強化する、賃上げを行うといった場合に活用可能です。

キャリアアップ助成金の最新の情報は、厚生労働省の「キャリアアップ助成金公式案内ページ」でご確認ください。

【キャリアアップ助成金】

キャリアアップ助成金概要 非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを助成
対象 中小企業事業主等
※業種別に、資本金額・常時雇用労働者の数等定めあり
条件 次の①~⑤の要件を満たしていること
①雇用保険適用事業所の事業主
②雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている
③キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局の受給資格の認定を受けている
④各コースの対象労働者に対する労働状況・勤務状況・賃金の支払い状況等を明らかにする書類により、賃金の算出方法を明示できる
⑤キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組む
助成金額 ※条件により加算措置あり
一例:
・正社員化コース(有期→正規:1人あたり57万円<72万円>、無期→正規:1人あたり28万5,000円<36万円>)
・賃金規定等改定コース(1人〜5人:1人あたり32,000円<40,000円>、6人以上:1人あたり28,500円<36,000円>)
など

(参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」)

自治体の補助金・助成金

上記で紹介した補助金・助成金の他にも、自治体が独自にDX推進のための補助金・助成金制度を設けているケースがあります。

ここでは一例を紹介します。

【東京都:DXリスキリング助成金】

東京都
DXリスキリング助成金概要
都内の中小企業等が従業員に対して、民間の教育機関等が提供するDXに関する職業訓練に係る経費を助成
対象 都内の中小企業もしくは個人事業主
条件 資本金・従業員数(業種により条件が異なる)
補助金額 上限額:64万円
補助率 2/3

(参考:東京都TOKYOはたらくネット「令和5年度DXリスキリング助成金(中小企業人材スキルップ支援事業)」)

【神戸市中小企業DX推進支援補助制度】
※2022年度の内容です。最新の情報は神戸市公式サイトよりご確認ください。

神戸市中小企業
DX推進支援補助制度概要
神戸市内に主な事業所を有する中小企業に対して、DX推進に必要な経費を補助
対象 神戸市内に主たる事業所を有する中小企業
条件 「神戸市中小企業DXお助け隊事業」の伴走型支援を受けている、または今後伴走型支援を受ける予定であること
補助金額 ・通常枠(上限:100万円)
・DXモデル事業枠(上限:250万円)
補助率 補助対象経費の1/2以内

(参考:神戸市役所「令和4年度 神戸市中小企業DX推進支援補助制度」)

DXに向けて補助金・助成金を利用する際の注意点

補助金や助成金を活用し、DXを推進する際の注意点を解説します。

補助金の場合、審査がある

補助金には審査があり、申請しても不採択になる可能性があります。例えば、「小規模事業者持続化補助金」の採択率は概ね40〜70%、「事業再構築補助金」の採択率は概ね30〜50%であり、申請したすべての企業に支給されるわけではありません。

事務処理の必要がある

補助金・助成金共に財源は税金です。そのため、申請と報告の際には、多くの書類の提出を求められ、事務作業に多くの時間が必要となるでしょう。補助金・助成金を活用する際には、受給額に対して費用対効果が見合っているか事前に検討するべきです。

支給は原則後払いとなる

補助金や助成金の支給は、原則として取り組み終了後の後払いとなるため、それまでの経費の支払いは、企業が立て替えておく必要があります。高額なサポートを受け、DXを推進する際には、事前にキャッシュフローを考える必要があります。

補助金を活用したDX推進事例

DXを推進するにあたり、実際に補助金を活用した事例を紹介します。

IT導入補助金でRPAを導入し生産性向上。協和テクノロジィズ株式会社

協和テクノロジィズ株式会社は大阪府に本社を置く情報通信業の企業です。同社では、IT導入補助金でRPAを導入したタイミングで業務プロセスを見直し、定形業務を自動化。以前は属人化されていた業務を改善し、約25時間/月の残業時間の削減に成功しているそうです。

(参考:IT導入補助金2022「ITツール活用事例」)

事業再構築補助金を活用し、DXを推進。総合プロデュース企業へ転換を行う、株式会社八芳園

株式会社八芳園は東京に本社を置き、ブライダル運営をメインに、レストラン事業やイベントプロデュースなど複数事業を展開する企業です。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、ブライダル事業の売上が減少。事業再構築補助金を活用し、食・イベント分野のDXを推進することで、非接触型のイベントやオンラインイベントシステム外販、ミールキットの製造配送などで事業を再構築し、高生産性事業へ転換を進めているそうです。

(参考:事業再構築補助金「採択事例紹介 事業計画書」)

DX推進には補助金や助成金の活用も検討しよう

DXを推進することは、競争力を高め企業が大きく変革するチャンスです。しかしDXの取り組みを進めていく際、多くの企業で課題となるのが資金の準備と言えるでしょう。今回の記事を参考に、補助金・助成金を活用したDXについて、前向きに検討してみてください。

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