「 IT導入補助金って何?」
「 ECサイト構築に使える補助金制度が知りたい」
このように、現在ECサイトを導入するにあたって、使える補助金がないかお探しではありませんか?
ECサイトの構築に使える補助金制度には複数種類があり、中でもおすすめなのが「 IT導入補助金」です。IT導入補助金は採択数が多いことが特徴で、ITツールの導入を考えている事業者なら、はじめに検討すべき補助金制度のひとつです。
こちらの記事では、ECサイトの構築に使える補助金制度やIT導入補助金の詳細、申請方法などを解説します。
IT導入補助金2023とは何か?
「IT導入補助金2023」とは、中小企業や小規模事業者等を対象にITツールの導入を支援する補助金制度です。
この制度は、ITツールの導入を検討している事業者を対象に、導入費用の一部を補助することで、売上アップや生産性向上といった経営力向上の支援を目的としています
補助金を利用するメリット
IT導入補助金の一番のメリットは、ITツール導入における金銭的負担の軽減です。条件によっては数百万円の補助が受けられるため、財政的に厳しい中小企業や小規模事業者にとって嬉しい制度です。
この制度を利用することで、事業者は業務効率と生産性の向上、新しいスキルの獲得、そして市場拡大や新しいビジネスチャンスの創出などが期待できます。
ECサイト(ネットショップサイト)の構築に使える補助金制度
ECサイト(ネットショップサイト)の構築に使える補助金制度には次のものがあります。
IT導入補助金はECサイトをはじめ、 ITツールの導入をサポートする補助金です。
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響で収益が悪化した企業が、事業を再構築するのに必要な費用を補助してくれる制度です。また、小規模事業者持続化給付金は販路開拓などの取り組みを支援する制度で、ECサイト構築も対象となります。
そのほか、各自治体によってIT補助金を導入しているため、事業を営む自治体で補助金制度がないかも確認しておきましょう。
IT導入補助金とは?
IT導入補助金は、中小企業や個人事業主の売上アップや業務効率化を推進するため、ITツールの導入をサポートすることを目的とする補助金制度です。ECサイトの構築を検討する際には、まずIT導入補助金が選択肢のひとつとしてあげられます。
IT導入補助金の概要は次の通りです。
対象 | 中小企業・個人事業主 |
補助金額 | 5万円〜最大350万円 |
補助率 | 2分の1・3分の2・4分の3(条件により異なる) |
平均採択率(2022年度) | 全体:66.4%
通常枠:55.9% デジタル化基盤導入枠:85.5% |
採択数(通常枠・2022年6月16日決定) | 1,615件 |
IT導入補助金は、採択数が多いことが特徴的です。公式HPの「交付決定事業者一覧」では、交付決定日が6月16日の分で通常枠の交付決定数は1,615件となっています。
ECサイトをはじめ、ITツールの導入はIT導入補助金の利用がおすすめです。
IT導入補助金の対象者
IT導入補助金の対象となる中小企業・小規模事業者の規模は、業種に応じて資本金や従業員数で決められています。補助対象となる具体例(通常枠)は次の通りです。
業種 | 資本金 | 従業員(常勤) |
製造業・建設業・運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
サービス業 | 5,000万円 | 100人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
ゴム製品製造業 | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
その他 | 3億円 | 300人 |
その他、医療法人や学校法人などの対象条件は公式HPの「補助対象について|IT導入補助金」をご覧ください。
IT導入補助金の要件
IT導入補助金には全部で16個の要件があります。例えば、以下のような要件があります。
gBizIDは、行政手続きをインターネット上で行うために必要な「 共通認証システム」です。
また、IT導入補助金を利用するためには、売上や原価をはじめとした生産性向上に係る情報を事務局へ報告する義務があります。そのほか、補助事業を実施することによる生産性の伸び率向上の具体的な数値目標(1年後は3%以上、3年後は9%以上)を作成する必要があります。
その他の要件や詳しい情報は、公式HPの「補助対象について|IT導入補助金」をご覧ください。
IT導入補助金の申請スケジュール期間
IT導入補助金2022の申請スケジュール期間は、申請する応募枠により異なります。デジタル化基盤導入枠の申請スケジュールは次の通りです。(2023年1月時点)
締切日 | 交付決定日 | 事業実施期間 | |
18次締切分 | 2023年1月19日 | 2023年3月3日 | 交付決定〜2023年6月30日 |
19次締切分 | 2023年2月16日 | 2023年3月23日 | 交付決定〜2023年6月30日 |
なお、通常枠(A・B類型)は、最後の9次締切分が2022年12月22日までとなっているため、2023年1月時点ではすでに締め切られています。
また、IT導入補助金は例年3月・4月ごろから募集が開始されます。
IT導入補助金で導入できるITツールでできること
IT導入補助金で導入できるITツールは、業務効率化のために導入されるソフトウェアやクラウドサービスなどです。ITツールを導入することで、例えば次のようなことが可能になります。
業務自動化の「RPAツール」を導入すれば、人件費が抑えられると同時に労働環境の改善を進めることができます。そのほか、顧客管理システムを導入すれば、顧客満足度を高めたり売上をアップさせたりすることも可能です。
過去のITツール活用事例は、公式HPの「ITツール活用事例|IT導入補助金」でも紹介されています。あわせてご参照ください。
IT導入補助金の応募枠は2種類
IT導入補助金の応募枠は、大きく以下2種類に分けられます。
さらにそれぞれ2つの類型に分けられ、類型により細かい応募条件や補助金額が異なります。ECサイトの構築に利用できるのは、 デジタル化基盤導入枠のみです。
ここからは、応募枠の違いや詳細について解説していきます。
1.通常枠
通常枠は、労働生産性向上につながるITツールに対して補助してもらえる枠です。主にソフトウェアやクラウド利用料などが補助されます。
通常枠には「A類型」「B類型」の2種類があり、業務プロセスの範囲や導入後の賃上げ目標などにより分けられます。A類型とB類型の概要は次の通りです。
A類型 | B類型 | |
補助額 | 30万円〜150万円未満 | 150万円〜450万円未満 |
補助率 | 2分の1以内 | 2分の1以内 |
プロセス数 | 1以上 | 4以上 |
賃上げ目標 | 加点 | 必須 |
プロセスとは、業務工程や業務種別のことを指します。
2.デジタル化基盤導入枠
デジタル化基盤導入枠は、EC・会計・受発注・決済のソフトウェア導入に限られた特別枠です。
通常枠と比べて 補助率が高いことが特徴で、ITツール導入後の賃上げ目標を設定する必要がありません。さらにソフトウェアだけでなく、PCやタブレット、レジなどハードウェアの導入費用も補助の対象です。
ECサイトの導入補助金は通常枠でも申請可能ですが、デジタル化基盤導入枠の方が補助率などが優遇されています。そのため、まずはデジタル化基盤導入枠の要件を満たしているか確認しましょう。
また、デジタル化基盤導入枠は「 デジタル化基盤導入類型」「 複数社連携IT導入類型」に分けられます。そのうち、デジタル化基盤導入類型の概要は次の通りです。
5万円〜50万円以下の部分 | 50万円〜350万円以下の部分 | |
機能要件 | 会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上 | 会計・受発注・決済・ECのうち2機能以上 |
補助率 | 4分の3以内 | 3分の2以内 |
デジタル化基盤導入類型の補助額は5万円~350万円で、そのうち50万円以下の部分は経費の4分の3が補助され、50万円を超える部分は経費の3分の2が補助されます。
補助額の範囲により補助率が異なるため注意しましょう。詳細は公式HPの「IT導入補助金について」をご確認ください。
IT導入補助金を申請する流れ
IT導入補助金を申請する流れは次の通りです。
- 補助事業の内容を理解
- ITツールを選択
- gBizIDの取得
- 交付申請
- 交付決定
まずは公募要項を読んで、IT導入補助金の補助事業について理解する必要があります。その後、IT導入支援事業者から導入したいITツールを決定。 gBizIDプライムのアカウントを取得し、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「 SECURITY ACTION」の宣言までを申請前に行います。
申請前の準備を終えたら、IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定します。その後、IT導入支援事業者から申請マイページの招待を受け、必要情報や添付書類を事務局へ提出して申請完了です。
公式HPの「申請方法|IT導入補助金」では、それぞれのステップ解説や加点対象などが記載されているため、あわせてご参照ください。
ITツールベンダー(IT導入支援事業者)と共同で申請が必要
IT導入補助金は、ITツールベンダー(IT導入支援事業者)と共同で申請する必要があります。補助事業が完了した後は「事業実績報告」を共同で作成し、ITツールを実際に導入し費用を支払ったことを証明する必要もあります。
IT導入支援事業者はIT導入補助金2022の公式サイトから検索できるので、目的に合う事業者を探しましょう。
ECサイト作成におけるIT導入補助金の注意点
ECサイト作成における、IT導入補助金を利用する際の注意点は次の3つです。
ここからは、それぞれの注意点について詳しく解説します。
1.ECサイトの新規作成時のみ補助対象
IT導入補助金を利用できるのは、ECサイトの新規作成時のみです。既存のECサイトをリニューアルする場合、IT導入補助金は利用できないため注意しましょう。
ただし、既存のHPをリニューアルするにあたってショッピング機能を実装した場合は、ショッピング機能の実装にかかった費用のみ補助を受けられます。
2.補助金を受け取れるのは申請から数ヶ月後
補助金を受け取れるのは申請から数ヶ月後になるため注意が必要です。
受け取った補助金を使ってECサイトを導入することはできず、導入後に実際にかかった費用や事業実績を報告してようやく補助金を受け取れます。
一度費用を立て替える形になるため、キャッシュフローの計画は慎重に行う必要があります。
3.補助金の交付は1回のみ
補助金の交付は 1回のみです。
IT導入補助金には「通常枠」と「デジタル化基盤導入枠」の2種類があり、それぞれ1回まで利用することができます。しかし、交付を受けた事業者は、同じ年度内に同じ補助金を申請することはできないため注意しましょう。
IT導入補助金2019や2020など、過去の補助金制度で交付受けた方でも条件を満たせば申請することはできます。
まとめ
ECサイトをはじめITツールを導入する際、いくつかの補助金制度を利用できます。中でも採択数が多いIT補助金制度の利用がおすすめです。
IT補助金制度を利用すれば、最大350万円の補助を受けることができます。ただし、IT補助金制度を利用するためには、「IT導入支援事業者」と共同で申請する必要があります。
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