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これからの総務に求められる「戦略的総務」とは 受け身から攻めへ

従来より総務とは、「企業の縁の下の力持ち」「組織の潤滑油」と言われており、その役割は企業を守るべき存在として例えられてきました。しかし、外的環境の変化も大きな現在では、総務が既存の通り守るだけの保守的な組織で居続けることは難しくなってきています。組織の変化に伴い、総務も変化を怖れずに企業の在り方に影響を与える戦略的総務としての、役割を担うことが必要です。

本記事では、戦略的総務とはどのような総務なのか、実際に戦略的総務により変化した企業の事例などをご紹介しています。本記事を参考に戦略的総務へのシフトを行っていきましょう。

これからますます求められる戦略的総務とは

時代の変化、顧客ニーズの変化スピードが高まる昨今。従来の保守的な総務から、戦略的総務へのシフトチェンジが求められています。まずは、従来の総務と戦略的総務の違いについて解説していきましょう。

今までの総務の在り方

従来の総務は、企業を守る受け身の体質が強い組織でした。様々な事柄を処理する側として、各部門からの依頼に対応する形をとっていた組織というイメージが強いのではないでしょうか。今までの総務の在り方は、起きた事象に対応すること、起きることを防ぐことを第一として運営されてきました。

このため、保守的な組織のイメージが強く、変化ではなく維持をすることが最善の考え方で運営をされてきたと言っても過言ではありません。このように、今までの総務とは維持をし守ることを目的として運営され、そのための強化を図ってきた組織です。

受け身から攻めへ 戦略的総務とは

今までの保守的な総務と異なる戦略的総務とは、どのような組織なのでしょうか。

戦略的総務とは、企業が達成する目的や目標のために常に会社の仕組みを変化、改善させる総務のことを指します。従来のルーチンワークや守りの姿勢ではなく、常に変化を行い能動的に動く組織であり、企業成長を目的として常に攻めの変化を実現していく組織です。

組織や会社全体の変化に対して、積極的に支援を行うことやその変化を後押しするための環境整備などを積極的に行い、時には総務が率先して変化をもたらす場合もあります。このように、従来の受け身ではなく攻めの姿勢で会社全体に変化をもたらす組織である戦略的総務は、現在の変化の多い時代に必要不可欠な組織となっています。

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戦略的総務が必要になった背景

戦略的総務が必要となった背景とは、どんな背景なのでしょうか。従来の保守的な体質から変わらなければいけなくなった理由を理解し、自社の総務に該当するかどうかについて検証していきましょう。

人材不足の深刻化

昨今の人材不足は、今まで以上に深刻化しています。企業としては、待っていれは求人に募集があるという時代は終わっています。

総務としては、積極的な採用活動をしなければいけません。求人を公開して待つという採用活動ではなく、SNSWEBを使って積極的に求人情報を周知していきます。それだけではなく、ダイレクトDMを打っての直接スカウトを実施する必要があります。転職エージェントを活用することも必要です。待ちの採用ではなく、攻めの採用活動を行うことこそ、攻めの総務に必要な要素になります。

人材不足は、年々加速する経営的課題です。人材不足の対応には採用だけではなく、離職率の低下などの対策も必要であり、社内の職務環境の改善や対策を講じるのも総務の職務となります。職場環境の整備や改善についても、指示を待つだけではなく、戦略的な施策の立案や実施が必要となる点も戦略的総務が必要となった背景の1つだといえます。

働き方の多様化

現在では、働き方の多様化も加速しています。働き方改革法案の施行後、リモートワークの導入なども進んでいます。その導入スピードは、コロナ禍の影響を受け加速しています。それだけではなく、働く女性を応援するなど従来からの働き方の多様化も促進されているため、企業としては多様化する働き方に対応していく必要があります。対応が遅れれば、人材不足の問題を加速させるなどの影響も生まれる可能性があります。

企業としては、従業員のモチベーションを維持しつつも、よりパフォーマンスを発揮する環境を提供し続けることが大切です。その為には、従来の働き方に拘るのではなく企業として最適である環境とは何かについて吟味・検討し、環境を整備する企画の立案と実施が必要です。こうした整備も総務が役割を担うため、総務には企画力や実践力が必要となるのです。

経営・事業戦略の変化が早い時代

環境変化が早い時代には、その変化に合わせた経営判断、事業戦略の変化も早くなってきます。変化する経営判断を実現するのは、総務だけの仕事ではありません。しかし、その変革の基盤を構築するのは総務の仕事になります。総務は、どういう基盤があればより経営からの依頼の実現が可能か考え、実装していく役割があります。この実装は、他社の事例や法令の変化などの情報を自ら収集し企画しなければ実現しません。

このように、単純に言われたことだけを実装することでは目的を達成できないため、戦略的に情報の収集・企画・実装を行う必要が出てきているのです。戦略的総務とは、受け身ではないということではありません。戦略的、つまり、計画し自らが動く必要性があり、時には経営層への提案や意見を述べる役割も担うと理解しておきましょう。

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戦略的総務の役割

次に、より具体的に戦略的総務の役割を見ていくことにしましょう。どうして戦略的総務が必要となったかの背景や従来の総務との違いを理解した上で、今後の戦略的総務に求められる役割とは何かを理解していく必要があります。

受け身ではなく攻めというと簡単ですが、決してそれだけが戦略的総務の担う役割ではないことを、より具体的に理解していきましょう。

経営層と現場のコミュニケーションのパイプラインを構築

総務は従来から、経営層と現場、現場と現場の潤滑油と言われています。戦略的総務ではより一層、この役割を強化する必要があります。変化が多い時代においては、潤滑油の役割だけではなく経営層と現場との間を今まで以上に結び、コミュニケーションをより活性化させる役割を担います。

このパイプラインの構築や、パイプラインの役割そのものを総務が行うことが役割の1つになります。戦略的総務の役割には、このパイプラインの構築と自らがパイプ役になることが求められています。この役割を実現することで、社内のコミュニケーションは活性化し、意見交換の活発化を実現することが可能になります。

ボトムアップ方式で社内体制変更を積極的に提案

最も顕著な役割といえるのが、ボトムアップによる社内体制の変更を提案することです。法令の改正や経営方針の変化に伴う最適な組織作りを提案し、求められるニーズに迅速に対応できる組織を作りあげることは、戦略的総務に課せられる役割になります。

社内体制の変更は容易なことではありませんが、何をすべき組織を作るのか、そのための人員はどう配置するかの案を策定し経営層へ提案していきます。この提案だけではなく、時には、必要な人材の採用プロセスを工夫、実施することも必要な役割になります。この一連の役割を達成することで、競争力のある組織を作り、企業経営に無駄なく対応できる柔軟な組織作りを実現していきます。

ステークホルダーとの関係構築

総務の仕事は、社外との協力関係を作り上げる役割を担っています。顧客を始め、取引先などのステークホルダーとの関係性を作り、自社の理解と協力を得ることは、総務としての重要な役割です。

ただ取引をするという従来の形ではなく、戦略的総務ではステークホルダーとどの様な関係を構築したいかを想定し、その関係構築に向けた実装を行っていきます。その他にも、地域住民や従業員の家族との間においても関係性を構築する必要があり、その関係性構築には計画的なアプローチが必要です。

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戦略的総務になるために必要なこと

次に、戦略的総務を創るために必要なことについて整理していきましょう。

戦略的総務の必要性や役割を理解した上で、どうすれば戦略的総務を創ることができるかについて、その方法を明確にして自社に展開していきましょう。

社内外問わず積極的なコミュニケーションを日常化

総務においては、社内だけではなく取引先と積極的なコミュニケーションを取るように心がけましょう。情報を収集する上では、社外とのコミュニケーションが必要不可欠です。社内においては、従業員への声掛けなどにより日常の業務を円滑に行う関係性を構築する必要があります。社外においては、運営に必要な協力や情報収集を行うための関係性を構築します

関係性を構築する上でのコミュニケーションには、単純な声掛けだけではなく積極的な働きかけが必要であることを理解し、自らが率先して行うことが必要だと理解しておきましょう。ここでも、受け身ではなく積極的に自らが行うことの重要性を理解しておかなければ、良好な関係性を構築することはできません。コミュニケーションは一方通行では成り立たない点を理解し、行動していくことが大切です。

とにかく攻めの提案力を身につける

戦略的総務は、攻めの姿勢が重要であると説明してきました。その攻めとは、何かを強引に進めることではありません。経営層や従業員に対して提案し、承認を得てから実装する提案力が必要です。戦略的総務は、ただ行動するということではなく提案力を身に付け、理解を求めることこそが必要です。

提案力は、簡単に身につくスキルではありません。ここまでにご紹介しているステークホルダーとの関係性や、社内外からの情報収集などを行った上で、論理的かつ自社にあった内容である必要性があります。いくら企画内容がすぐれていても、自社に導入できない内容であれば意味がありません。自社の現状を踏まえ、最適かつ効果的な方法を提案できる提案力を身に付けていきましょう。

固定業務はツール導入やアウトソーシング

戦略的総務を実現するには、企画や提案書の作成などの従来とは異なる業務も付加されていきます。そのためには、従来行ってきた業務の効率化を図り、工数の削減をすることが必須となります。従来業務の効率化には、固定業務におけるツール導入やアウトソーシングが有効です。これらの活動においても、経営層へ提案を行うその効果や目的を理解してもらう必要があります。

そもそも、その業務が必要であるか、手順の可視化を行うことでの効率化を促進していく必要もあり、業務整備の手法を理解して実践することも必要になっていきます。このように、単純にツール導入を行うのではなく知識や技術を自らが習得し、業務整理を行うことも必要になっていくと理解しておきましょう。

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戦略的総務を目指す「総務に強い」会社

最後に、戦略的総務を目指す「総務に強い」会社の事例を2社ご紹介しましょう。先進的な取り組みを実施している企業の事例を見ることで、自社における戦略的総務の形をより具体化することができ、目指すべき姿を定義しやすくなります。

株式会社アトラエ

求人メディアの企画・運営を行っている株式会社アトラエ。オフィスが手狭となったことをきかっけに、オフィスの移転を実施しています。

ただし、単純な移転ではなく社名そのものを変更し、従業員の働き方の見直しを行うなどブランド力、働き方の改革などの多方面における改革を実現しています。従業員が自由な発想ができる、コミュニケーションが活性化するためのオフィス作りを計画し提案することで実現した例です。

URLhttps://atrae.co.jp/

株式会社サイボウズ

一元管理ができるグループウェアで有名な株式会社サイボウズ。グループウェアの利用は、社内でも行われています。戦略的総務で企画した社内の管理方法や共有すべき情報項目は、その商品作りにも影響を与えています。どのような画面でスケジュール管理をすると効果的か、どのような管理ツールがあればより利便性があるかなどの意見と、実際に総務主体で企画し実装した内容が商品作りに活かされています。

実際にどう管理することがいいかについては、総務視点での意見は貴重であるとし、効果のあった仕組みを商品化することでより多くの企業の信頼を得て導入に結びついています

URLhttps://cybozu.co.jp/products/

失敗を恐れずに攻めの総務へ

本記事では、今後必要となる戦略的総務の概念や役割について解説しています。

総務の存在は、従来の受け身の組織から攻めの総務、戦略的総務へのシフトを求められています。総務の業務変革は、そのまま企業成長や企業変革に直結し、今後の企業に必要なものです。戦略的総務になることは、ただ攻めるということではありません。戦略を検討、立案し実装することで今までとは異なる業務運営を行うことを示します。

今後、総務に求められる変化はより一層加速することが予測されます。他社との差別化を行い、競争力を高めるためにも総務の在り方について検討し、戦略的総務へのシフトを実現していきましょう。

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