業務効率化とは
業務効率化とは、業務プロセスの中の「ムリ」「ムダ」「ムラ」を省くことにより、効率的に業務を遂行できるようにすることです。
例えば、業務量が処理しきれないほど多かったり(ムリ)、業務に必要以上の時間がかかっていたり(ムダ)、チームや時期によって業務の偏りが生じている(ムラ)という状態は、決して効率的とは言えません。
こういった業務の中の「ムリ」「ムダ」「ムラ」を見つけて改善することで、全体の生産性を高めていくことが「業務効率化」なのです。
業務効率化と生産性向上との違い
「業務効率化」と混同されやすい言葉に「生産性向上」がありますが、この2つの違いは、何を重視するのかという視点でみるとわかりやすくなります。
・「業務効率化」:成果を出すための手段(コスト)の効率化を重視
・「生産性向上」:成果を最大化することを重視
つまり、業務を効率化することによって生産性が向上するという結果につながるため、「業務効率化」は、「生産性向上」という目的を達成するための1つの手段ともいうことができるのです。
業務効率化のメリット・デメリット
業務効率化には、メリットだけでなくデメリットもあります。業務効率化をより効果的に行うためにも、両方を知ったうえで着手するようにしましょう。
業務効率化のメリット
業務効率化を行うことは、企業と従業員の双方に大きなメリットがあります。
業務効率化によって、コストが削減されて生産性が向上するので、利益率が増大します。その結果、給与や福利厚生などの待遇面の改善が可能になり、離職率が下がることも期待できるでしょう。リソースの余裕が生まれることで、新規事業への挑戦も可能になります。
効率化によって無駄な業務から解放され、業務の目的が明確になることは、従業員にとってストレスの軽減、モチベーションアップなどのメリットをもたらします。業務時間の短縮により生まれた時間を、自分の成長のために使えるようになれば、それは企業全体の成長にもつながっていくのです。
業務効率化のデメリット
業務効率化には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。
業務効率化にはITツールを導入するケースも多いため、導入コストがかかったり、使用方法を新たに覚える必要があります。情報流出などのセキュリティ上のリスクにも注意しなければなりません。
ツールを使用しない場合でも、業務の方法を変えると、新しい工程を覚えて慣れるまでの間、従業員に負担がかかってしまうことがあります。
そのような負担を軽減し、スムーズに業務効率化を進めるための方法を、次の項で詳しく解説します。
業務効率化をスムーズに進める方法5つのステップ
業務効率化を進める際は、手順も重要です。ここで紹介する5つのステップにしたがって進めることで、業務効率化をスムーズに行うことができます。
現状の業務フローと課題を可視化
まず、現在の業務の流れを把握することから始めます。業務フロー図などを作成し、業務を可視化するのがおすすめです。
「どのような業務があるのか」はもちろん、各業務の所要時間や必要な人員数などを棚卸していきます。業務を見える化することで、重複部分や不要なプロセスを発見しやすくなるでしょう。
この可視化の作業は、業務課題を見つけるためだけではなく、改善策を考えていく際の抜けもれのチェックにも重要な役割を果たすので、しっかりと行うようにしてください。
改善箇所の優先順位を決める
業務の全体像を把握し、課題を明確にしたら、次は改善すべき箇所の優先順位を決めます。
業務の大きな改変では、現場に混乱や抵抗が生じがちです。まとめて一気に解決しようとするのではなく、どの課題を優先的に効率化していくべきなのか順番を決めることが大切です。
優先順位の決定は、「影響範囲」と「工数」を考慮して行うとよいでしょう。その業務を効率化することで同時に改善できる影響範囲が大きく、かつ少ない工数で行えるものは、優先順位が高いといえます。
改善方法・ツールを選ぶ
改善の優先度が高いと判断した業務に対し、改善方法・ツールを検討していきます。その際に、知っておくとよいのが、ECRS(改善の4原則)という考え方です。
E(Eliminate):排除
不要な業務や工程をなくす
C(Combine):結合
類似する業務を1つにまとめる
R(Rearrange):入替え
工程や担当者を入替える
S(Simplify):簡略化
業務や工程をより簡単にする
例えば、せっかく業務を効率化しても、そもそも排除できる業務だった場合、その作業自体が無駄になってしまいます。それを避けるためにも、改善方法を「E→C→R→S」の順番で考えるとよいでしょう。また、ツールを選ぶ際には、職種や業務に適しているかもよく検討するようにしましょう。
現場の受け入れ態勢を整える
業務効率化の手法やツールが決まった後も、導入のタイミングには注意が必要です。
どんなにメリットの大きい手法やツールであっても、タイミングを誤ると、従業員の負担が増し、定着しないことがあるからです。例えば、現場の繁忙期を避けたり、マニュアルを準備して事前の周知をしっかりと行うなど、現場の受け入れ態勢を整えてから導入していきます。
効果検証を行う
業務効率化は、新しい方法を導入したら、それで終わりというわけではありません。導入後、実際に一定期間運用してみて、どのような効果がどれくらい出ているのかを検証する必要があります。
また、効果だけでなく、新しい方法を導入したことによって、従来の業務フローが邪魔されてしまっていないかという点や、定着度もあわせて確認するようにしましょう。定期的にモニタリングし、必要に応じて改善するというサイクルを継続して回すことが重要です。
業務効率化の手法
業務効率化の手法について、ここでは5つの方法を具体的に紹介します。
より詳しく知りたい方は、下記の業務改善のアイデアに関する記事も、参考にしてみてください。
無駄な業務をやめる
業務把握の際に、不要な業務や重複している業務を見つけた場合は、思い切ってやめてみるという方法があります。例えば、定例化している会議や、いつも作成している資料や報告書などの中に、やめても困らなそうなものはありませんか。
新しい方法を導入するためにはコストや手間がかかりますが、今あるものをやめるだけなら、あまり抵抗なく取り組むことができます。やめることへの不安が大きいという場合は、段階的に削減していくのがおすすめです。
マニュアル・フローを作成
業務をマニュアル化・フロー化することは、特に、定型的な業務の効率化に効果的です。マニュアルがあれば、担当者が変わっても同じ手順で業務を遂行でき、最適なプロセスの共有も容易になります。
必要な情報をマニュアルに記載しておくことで、業務中に生じた問題や疑問を質問する手間も省け、解決に費やす時間を短縮できるというメリットもあります。
業務の担当を見直す
複数の業務を1つにまとめたり、逆に業務を分業化したりして、担当を変えることで業務効率アップにつなげる方法もあります。
複数の担当者や部署にまたがっている業務で、細かな情報共有が必要なものや、それぞれの担当する業務の関連が強く、影響をおよぼしあっているようなものは、1つにまとめた方がよい場合が多いです。
逆に、1つの業務内で各工程が独立しているようなものは、分業化して複数の担当に分けることを検討してみてもよいでしょう。
アウトソーシングの活用
アウトソーシングとは、社内の業務の一部を外部の企業に委託することです。従業員でなくてもできる業務や、社内に人材が不足している分野の業務については、アウトソーシングも検討してみましょう。
アウトソーシングは、より力を入れたい業務に社内の人的リソースを集中させることができるというメリットがあり、業務効率化に対して即効性のある方法です。
ツールの活用
ITツールを導入することも、業務効率化に即効性のある手段の1つです。ツールを使って定型的な作業を自動化することで、作業時間を短縮できます。
各ツールの詳しい内容については後述しますが、オンライン会議システムやチャットツール、ファイル共有ツールなど、コミュニケーションや情報共有についても効率化に役立つツールが、近年、次々に登場しています。
業務効率化におすすめのツール
昨今の労働環境の変化からみても、ITツールの導入は、業務の効率化を進めるうえで不可欠といえます。
ここでは、業務効率化に役立つ5種類のツールについて、それぞれの特徴や導入のメリットなどを説明します。
ツールを選ぶ際には、業務内容や使用目的によって最適なものを選択するようにしましょう。
オンライン会議ツール
オンライン会議ツールの活用は、どこからでも会議に出席することを可能にします。オンラインで会議を行えば、移動時間の短縮や移動にかかるコストの削減にもつながります。
会場の確保に費やす時間やコストも削減でき、紙の資料を準備しなくてもよくなるという点も嬉しいメリットです。
タスク・プロジェクト管理ツール
タスク・プロジェクト管理ツールを使用すれば、簡単に、社内やチームでタスクを可視化し、共有することができます。
工数管理・カレンダー機能によって、お互いの業務や進捗がわかりやすくなり、チーム内でのスケジュール管理や抜けもれチェックも容易になります。進捗の遅れやミスにも気づきやすくなり、業務効率の改善も期待できるでしょう。
ファイル共有ツール
ファイル共有には、クラウド上でファイルを共有できるツールが便利です。アクセス権限があれば、自宅や外出先からでもファイルを閲覧・保存でき、大容量のデータも共有が可能になります。
従来のようなメールやファイルサーバー利用時と比較すると、システムの保守管理などの手間が省ける点や、セキュリティリスクを減らせるといった点も魅力的です。
コミュニケーションツール・チャットツール
ビジネスチャットツールなどのコミュニケーションツールは、リモートワーク時であっても、社内の円滑なコミュニケーションを可能にしてくれます。
費用もそれほど高くなく導入のハードルが低いうえ、社内交流や雰囲気づくりにも役立つ、活用の幅が広いツールといえます。
口頭のやりとりとは違って履歴が残るので、後からの確認がしやすい点もチャットツールを活用するメリットです。
RPA
RPAとは「Robotic Process Automation」の略で、PCなどで行っている業務を自動化できる「ソフトウェアロボット」のことです。
AIのように自分で判断する能力は持ちませんが、単純な作業を迅速かつ正確に行うことには適しているので、ルールが固定されている定型業務(データ収集や集計など)に対しての導入が効果的です。
操作パネルを選択するだけで、直感的に操作することができます。
まとめ
労働力不足や日本の国際競争力の低下が叫ばれる中、企業には、限られたリソースを有効活用する戦略が、これまで以上に求められることになるでしょう。
企業の競争力を高めるうえでも、業務効率化は避けることのできないテーマです。現状をしっかりと把握し、社内のリソースを駆使して業務を見直していくことはもちろん大切ですが、同時に、適切なツールやアウトソーシングの導入も検討していく必要があります。
この記事では、業務効率化について基本となるアプローチを紹介してきましたが、実際には企業によって課題もその背景もさまざまです。
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