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ChatGPTの問題点とは? 解決方法や今後の展望を解説

近年、さまざまな分野で注目を集めているChatGPTですが、現状では特有の課題や問題点を指摘する声も少なくありません。ChatGPTを事業領域で活用するためには、メリットだけでなくデメリットについても理解を深めるプロセスが必要です。本記事では、ChatGPTの問題点やその解決策などについて解説します。

 

ChatGPTの問題点とは? 解決方法や今後の展望を解説

ChatGPTの問題点は?

ChatGPTとは、OpenAIが開発した対話型AIサービスです。コンピュータが物事を学習して法則化する「機械学習(Machine Learning)」や、人間の言語を理解・生成する「自然言語処理(Natural Language Processing)」などの最先端技術を駆使したサービスであり、さまざまな質問にAIチャットボットが対話形式で答えてくれます。ChatGPTはその革新性が注目を集め、リリース後わずか2ヶ月で1億人のアクティブユーザーを獲得するなど世界中で大きな話題となりました。しかし、そのChatGPTにも現状ではいくつかの懸念事項が指摘されています。なかでも重要度の高い注意点として挙げられるのが以下の四つです。

  • 情報が正確ではない可能性がある
  • フィッシングメールなどへ悪用される可能性がある
  • 専門性の高い質問には答えられない
  • 悪性コードの作成に使われる可能性がある

情報が正確ではない可能性がある

ChatGPTは日常的な会話のやり取りはもちろん、プログラミングコードの生成や哲学的な質問に対する応答、言語の翻訳や物語の生成、Excelの関数出力や構文エラーの検知など、幅広い分野に対応可能です。しかし、生成されたテキストが必ずしも正しい情報とは限りません。ChatGPTは「LLM(Large Scale Language Model)」という大規模言語モデルをベースとしており、オンライン上に存在する膨大なデータ群を学習して質問に対する答えを生成します。そのため、古い情報や誤ったデータを学習する可能性があり、情報の鮮度と正確性を担保できないという懸念点があります。

フィッシングメールなどへ悪用される可能性がある

ChatGPTの懸念事項として挙げられるのが、フィッシングメールやスパムメールなどへの悪用です。近年、大手金融機関を装ってフィッシングサイトへ誘導し、IDやパスワードを窃取する、あるいはマルウェアを仕込んだスパムメールを大量送信するといったサイバー攻撃が増加傾向にあります。デジタル技術の進歩・発展に伴ってサイバー攻撃の脅威は年々高度化しており、情報漏洩インシデントによって莫大な損害を被る企業も少なくありません。ChatGPTは自然言語処理によって極めて人間らしい自然な文章を生成できるため、巧妙な不正メールの作成に利用されるリスクが懸念されます。

専門性の高い質問には答えられない

ChatGPTは幅広い分野の質問に応答できるものの、専門性の高い領域に関する知見は極めて限定的です。たとえば、弁護士や税理士などの士業は将来的にAIが代替すると予測されています。しかし、法律相談や税務相談などの領域は専門家でも意見が割れる場合が少なくありません。現状のChatGPTはあくまでも機械学習や自然言語処理で学習できる範囲でしか対応できないため、専門性の高い質問に対して正確で信頼できる答えを導き出せません。また、ニッチなジャンルや十分に学習できていない内容に関しては支離滅裂な回答をするケースもあります。

悪性コードの作成に使われる可能性がある

ChatGPTはIT分野を比較的得意としており、基本的なプログラミングコードを生成できるのはもちろん、プロンプト次第では専門的なトピックにも対応可能です。そのため、プログラミングコードの自動生成機能を悪性コードの作成に使用される可能性があります。悪性コードとは、いわゆるコンピュータウイルスやランサムウェア、トロイの木馬など、社内ネットワークやITシステムなどに侵入するコンピュータプログラムです。ChatGPTの利用によって悪性コードの生成が容易となるため、サイバー攻撃の増加やフィッシング詐欺の高度化などの要因となるリスクが懸念されます。

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ほかの情報源も参考にする

ChatGPTは必ずしも情報の正確性を担保できるわけではなく、古いデータや虚偽の情報に基づく回答を生成する可能性があります。したがって、論文や書籍などのリソースを参考にしながら事実確認を徹底しなくてはなりません。あくまでもChatGPTは情報収集やタスク処理を支援するツールのひとつと認識し、ほかの情報源も参考にしてデータの正確性を担保することが大切です。

機密情報を入力しない

ChatGPTはユーザーが入力した情報も学習の材料として使用するため、機密度の高いデータを入力するのは推奨できません。従業員の個人情報や顧客情報、未発表の製品開発データなどの機密情報を入力した場合、そのデータがChatGPTに学習対象として取り込まれる可能性があります。このような事態を回避するためには機密情報を入力しない、もしくは入力した情報を学習させないオプトアウト申請をするといった対策が必要です。

人の目でもチェックする

ChatGPTを利用する際は出力されたテキストを目視で確認するプロセスが極めて重要です。ほかのリソースを参考にしながら事実確認を徹底するとともに、生成されたテキストを人の目で確認することによって情報の正確性を担保できます。本来、AIはこうした人間による手作業のオートメーション化を目的として導入されるソリューションですが、現状のChatGPTはその領域には達していません。

ChatGPTのメリット

ChatGPTのメリットとして挙げられるのが作業時間の短縮です。たとえば、Webコンテンツの作成にChatGPTを活用することで、記事の作成時間を大幅に短縮できます。GoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用して取得できるレベルの情報であれば数秒で応答してくれるので、情報収集の効率化に寄与する点もメリットのひとつです。また、一般教養レベルの質問であれば、「~とは?」や「~について教えて」といった簡単なプロンプトで人間のような答えを返してくれるため、悩みを抱えている人の良い相談相手となります。

ChatGPTの今後の展望

ChatGPTはその革新性と利便性ゆえに悪影響を危惧する声も多く、EUを始めとする諸外国では規制の動きが広がっています。ChatGPTはあくまでも自動応答ツールであり、道徳的な価値観を備えていないため、倫理的な観点に基づくさまざまな問題が生じる可能性があるためです。実際にOpenAIの創設者の一人であるイーロン・マスク氏自身がChatGPTの危険性について警鐘を鳴らしており、開発の停止を求めているというニュースは大きな話題となりました。しかし、AIは第四次産業革命を実現する上で欠かせない技術のひとつであり、ChatGPTの活用はリスクを踏まえた上で今後も広がっていくと予測されます。

 

まとめ

ChatGPTは、大規模言語モデルをベースとする対話型AIサービスです。機械学習や自然言語処理などの技術を駆使し、AIチャットボットがさまざまな質問に対して人間のように応答してくれます。革新的かつ先進的なAIツールとして世界中で大きな話題となっているものの、「情報が正確ではない可能性がある」「フィッシングメールなどへ悪用される可能性がある」「専門性の高い質問には答えられない」「悪性コードの作成に使われる可能性がある」などの問題点を指摘する声も少なくありません。こうした問題点を解消するためには、信頼性の高い情報源を参考にするとともに、機密情報の入力を制限したり目視による確認をしたりといった対策が必要です。諸外国ではChatGPTを規制する動きが広がりつつありますが、AI技術の進歩・発展に伴って利用率はさらに加速していくと推察されます。

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