2024年度も継続されることが決定したIT導入補助金。
例年実施されている事業再構築補助金とものづくり補助金と併用できるのか気になった方もいらっしゃいますよね。
そこで今回は事業再構築補助金はit導入補助金と併用できるのかを解説していきます。
事業再構築補助金とit導入補助金の違い
事業再構築補助金とit導入補助金の簡単な違いについて解説させていただきます。
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは政府が新型コロナウィルスの影響で、業績が落ち込んだ企業に対して、業績を回復させるための新たな取り組みを支援する補助金です。
補助金額の上限は最大1億円(2022年度から1.5億円)、補助率の上限は2/3(特別枠は3/4)となっており、過去最大規模の補助金となっています。
一見するとある程度の規模が大きい企業向けかと思われますが、そうではありません。
最低申請金額は100万円からとなっており、小さい事業規模でも取り組める形となっています。
it導入補助金とは
it導入補助金は中小企業・小規模事業者が生産性を向上させるために導入するITツールの導入費用を支援する補助金です。
補助金額の最大450万円、補助率の上限は1/2(特別枠は2/3)となっており、事業再構築補助金よりも中小企業・小規模事業者向けの補助金といえるでしょう。
補助事業の対象となるITツールは本事業に登録されているITツールのみです。
ITツールであれば何でもよいわけではありませんので、注意しましょう。
(IT導入補助金の登録事業者はIT導入補助金のホームページから確認可能)
事業再構築補助金とIT導入補助金の主な違い
事業再構築補助金とIT導入補助金の主な違いは下記の通り。
事業再構築補助金 | IT導入補助金 | |
補助対象者 | 中堅企業・中小企業・小規模事業者 | 中小企業・小規模事業者 |
補助対象経費 | IT導入以外にも建設費・広告宣伝費など様々な経費が補助対象 | IT導入のみ (事業に登録された事業者しか利用できない) |
補助金額 | 最大1億円 | 最大450万円 |
補助上限 | 2/3(特別枠は3/4) | 1/2(特別枠は2/3) |
事業再構築補助金の方が全体的に有利な補助金となっています。
しかしながら、事業再構築補助金の補助上限に達してしまった場合、事業再構築補助金とIT導入補助金を併用したいと考えている事業者の方もいらっしゃるかと思います。
次の章では、事業再構築補助金とIT導入補助金は併用できるのかという点を解説させていただきます。
事業再構築補助金はit導入補助金と併用可能!
事業再構築補助金とit導入補助金は結論から申し上げますと併用可能です。
事業再構築補助金のホームページで下記の通り、よくある質問で回答されているためです。
Q.ものづくり補助金など他の補助金と併用は可能か
A.内容が異なる別の事業であれば、同じ事業者が異なる補助金を受けることは可能です。
ただし、同一事業で複数の国の補助金を受けることはできません。
ものづくり補助金などの他の補助金と併用可能と回答があるので、当然IT導入補助金との併用も可能となります。
事業再構築補助金とit導入補助金を併用したい事業者の方は利用できます。
しかしながら、注意点がありますので、解説させていただきます。
同一事業では併用できない
事業再構築補助金とIT導入補助金で注意しなければならない点は、同一事業では利用できないということです。
併用する場合は別の事業で利用しなければなりません。
例えば、飲食店の事業者が事業再構築補助金を利用し、精肉の通販サイトを開設するケースの場合で考えてみてます。
事業再構築補助金で倉庫などの建設や広告宣伝費を使い、通販サイトを構築する際にIT導入補助金を利用したいとなった場合は併用不可となると考えられます。
このように同一事業内で事業再構築補助金とIT導入補助金を併用することはできません。
しかしながら、別事業であれば事業再構築補助金とIT導入補助金の併用はできます。
具体的にどのようなケースで併用できるか考察していきましょう。
事業再構築補助金とit導入補助金が併用できるケース
事業再構築補助金とIT導入補助金が併用できるケースは別事業で利用するケースです。
ですので、事業再構築補助金で新事業を取り組み、IT導入補助金で既存事業の業務改善を行うケースは併用できるかと思われます。
例えば、既存事業で飲食店を営んでいた事業者が、新たに不動産事業を開始するケースで考えてみましょう。
飲食店の方でIT導入補助金で導入したITツールを利用し、業務の効率化を図り、新たな事業としての不動産事業で事業再構築補助金を利用するといったケースは併用可能となると考えられます。
また、二つの新規事業に取り組み、それぞれ事業再構築補助金とIT導入補助金を利用するケースも考えられます。
例えば、飲食店を営んでいる事業者が、新たに不動産事業と小売事業を開始するケースで考えてみます。
不動産事業の方で、事業再構築補助金を利用して事業再構築を行い、小売事業でECサイトを構築しIT導入補助金を利用する。
このようなケースの場合も別事業での補助金需給となるので、補助の対象となるでしょう。
このように事業再構築補助金とIT導入補助金を併用するには別事業を行う必要があります。
「既存事業+新規事業」または「新規事業+新規事業」といったケースの場合、事業再構築補助金とIT導入補助金の併用が可能と考えられます。
両方の補助金を利用したいと考えている事業者は上記のどちらかのケースで利用してみてください。
ものづくり補助金は生産性を向上させるための設備投資などの支援
ものづくり補助金とは
中小企業や小規模事業者などは、将来的に働き方改革や被用者保険の適用範囲の拡大、賃上げ、インボイスの導入などといった制度の変更による課題に直面する可能性があります。このような課題に対処するために、中小企業や小規模事業者は新しいサービスの開発や試作品の制作、生産プロセスの改善などに取り組んで生産性を向上させる必要があります。その支援として、ものづくり補助事業公式ホームページによれば、設備投資などを支援するプログラムが提供されています。
ものづくり補助金の申請枠
ものづくり補助金には複数の申請枠があります。目的に応じて、適切な枠で申請しましょう。
それぞれの枠については、下記になります。
・通常枠…革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資などを支援する補助金
・回復型賃上げ・雇用拡大枠…業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が行う、革新的な製品・サービスまたは生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援する補助金
・デジタル枠…DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発またはデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援する補助金
・グリーン枠…温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援する補助金
・グローバル市場開拓枠…海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援する補助金(①海外直接投資類型、②海外市場開拓(JAPANブランド)類型、③インバウンド市場開拓類型、④海外事業者との共同事業類型のいずれかに合致するもの)
まとめ
今回は事業再構築補助金とIT導入補助金は併用できるのかという解説させていただきました。
ポイントは下記の通り。
- 事業再構築補助金とIT導入補助金は併用可能
- ただし、同一事業では利用不可
- 別事業であれば利用可能
原則として事業再構築補助金はIT導入を含む幅広い経費が補助の対象となります。
ですので、無理にIT導入補助金と併用する必要はありません。
しかしながら、事業再構築補助金で補助金の上限に達するという場合は検討する価値があるかと思います。
「計画書が作成できず、困っている」「認定支援機関が見つからず、困っている」という方はまず一度ご相談ください。
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