総務は、年次業務が多い部署として知られています。
何月にどんな業務を行うかカレンダーで管理できる年間スケジュールを策定しておけば、業務の「見える化」を促進できます。
今回は、総務の代表的な年次業務を月ごとにピックアップして紹介致します。
スケジュール策定に便利なツールも紹介しますので、参考にしてみてください。
総務部年間スケジュールの策定のメリット
まずは、年間スケジュールを策定する目的・意義を確認しておきましょう。
メリットを正しく知ることで、スケジュール策定がどんな問題を解決できるか把握しやすくなります。
事前に工数計算ができる
あらかじめスケジュールが分かっていれば、どの業務にどれくらいの時間がかかるか、工数計算することができます。
新しい企画や制度の立案は繁忙期を外して行い、繁忙期はルーティンワークに集中できるよう他業務をなるべく入れないよう調整しやすくなるでしょう。
仕事が多すぎてパンクすることを避けられれますので、スケジュール策定のメリットが分かります。
事前に人員を確保できる
繁忙期に合わせて他部署から人員を借りたり短期のアルバイトを雇ったり、人員確保策を打ち出すことができます。
あらかじめ十分な人員を雇うこともできますが、閑散期に人が余りがちになるようであれば上記のような施策を打った方がよいでしょう。
業務量の変化が大きい企業であれば、尚更スケジュール策定が重要です。
ツールなどの準備をしやすい
各行政機関にオンラインで書類提出ができるe-Govのアカウントを発行したり、コミュニケーションツールの導入を行ったり、繫忙期に向けて準備することができます。
また、大量の印刷に備えてコピー用紙や複合機のインクを発注したり、イベントに合わせてネームプレートや社章を用意したりする必要もあるでしょう。
直前になって慌てることのないよう、期限から逆算して準備しておくことが大切です。
総務部の月ごとのイベントと業務一覧
総務部門は年間を通して様々なイベントがあります。会社によっては、総務部が労務や税務を担当しているところもあるので参考までに労務と税務の仕事内容も書いておきます。
では早速、月ごとの総務関連業務・イベントをチェックしていきましょう。
自社に当てはまる項目も探しながらイメージすることがおすすめです。
1月
【総務メイン】
- 仕事始めの会
- 年頭表彰式
- 社内成人式
- 年賀状の返礼 (対社外業務)
- 年始の挨拶回り (対社外業務)
- 新年会の企画・準備 (対社内業務)
- 扶養控除申告書の回収
【労務関係】
- 12月の社会保険の納付
- 第三期労働保険の納付
- 労働者死傷病報告の提出(10~12月分)
【税務(経理)】
- 12月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
- 7月~12月分の源泉徴収所得税額(納期の特例を受けている場合)
- 給与支払報告書の提出
- 法定調書の提出
- 源泉徴収票の提出(従業員本人に渡す)
- 固定資産税の償却資産に関する申告
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の回収(社内で保管)
【1月まとめ】
外部対応が多くなる時期でもあるため、基本的なビジネスマナーなどを見直しながら行いましょう。
2月
【総務メイン】
- 春闘情報の収集
- 入社式や新入社員研修に関する準備
- 各種業務の見直しなど (対社内業務)
- 新年度の経費削減の見直し (対社内業務)
【労務】
- 1月分の社会保険料の納付
【税務(経理)】
- 1月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
- 固定資産税(第4期分)の納付
- 消費税の中間申告と納付
【2月まとめ】
総務部の忙しさが比較的落ち着きやすいタイミングであり、業務の見直し棚卸しをするのに最適です。
業務効率改善のヒントがないか、生産性向上が図れるポイントがないか探っていきましょう。
3月
【総務メイン】
- 人事異動に向けた物品準備 (対社内業務)
- 春の全国火災予防運動、消防訓練
- 36協定の締結及び更新
- 年度末期限契約の不動産、リース商品の確認
- 介護保険料対象者のチェック
- 定期昇給
- 入社式の準備 (対社内業務)
【労務】
- 2月分の社会保険料の納付
- 労働保険料の納付
【税務(経理)】
- 2月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
- 贈与税の申告および納付
【3月まとめ】
人事部と連携する機会が多くなるため、事前にミーティングの日程や参加者をすり合わせておきましょう。
また、36協定締結などの大きなイベントもあるため、翌年度の従業員代表を誰に据えるかなどを相談しておくことも重要です。
4月
【総務メイン】
- 入社式 (対社内業務)
- 新入社員歓迎会 (対社内業務)
- 新入社員の入社手続き (対社内業務)
- 労働者私傷病報告書の提出
- 大型人事異動 (対社内業務)
- ゴールデンウィークの準備 (対社外業務)
- 株主総会の準備 (対社外業務)
- 軽度労働者私傷病報告の提出
- 源泉徴収票の提出
【労務】
- 3月分の社会保険料の納付
- 労働者死傷病報告の提出(休業4日未満の労働災害等、1~3月分)
- 有給休暇の繰越確認
- 雇用保険料免除対象者の確認
【税務(経理)】
- 固定資産税の納付
- 3月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
【4月まとめ】
翌月にゴールデンウィークという大型連休を挟むため、重要な業務は抜け・漏れなく処理しておきましょう。
また、株主総会など大きなイベントも目前に控えているため、開催日から逆算して準備を進めておきます。
5月
【総務メイン】
- 緊急連絡網の作成
- 制服の衣替え (対社内業務)
- 冷房設備のメンテナンス (対社内業務)
- 高齢者及び障害者雇用状況報告書の提出
- 株主総会の準備 (対社外業務)
- ゴールデンウィーク中の社内体制 (対社外業務)
【労務】
- 4月分の社会保険料の納付
【税務(経理)】
- 4月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
- 自動車税の納付
- 3月決算法人の法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税の確定申告・納付
- 自動車税の納付
【5月まとめ】
大型連休中にトラブルや緊急事態が発生した場合に備え、あらかじめ緊急連絡網を作成しておきましょう。
また、高齢者及び障害者の雇用状況によって調整金の納付(もしくは給付金の受給)が求められる可能性がありますので、ハローワークと連携しながら対応する必要があります。
6月
【総務メイン】
- 株主総会の開催
- お中元送付先のリスト作成 (対社内業務)
- クールビズ開始
- 定期健康診断の実施
- 労働保険料の改定及び年度更新
- 男女雇用機会均等月間
- 外国人労働者問題啓発月間 (対社外業務)
- 男女共同参画週間
【労務】
- 5月分の社会保険料の納付
- 労働保険の年度更新 申告・納付
- 夏季賞与の計算
【税務(経理)】
- 5月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
- 固定資産税(都市計画税)(第1期分)の納付
- 特別徴収住民税額の更新
- 株主総会の開催
【6月まとめ】
また、6月は男女雇用機会均等月間でもあります。
現場から男女の機会均等雇用に関するアイディアや現状困っている問題点をヒアリングし、組織経営に役立てていきましょう。
7月
【総務メイン】
- お中元の手配
- 暑中見舞いの発送 (対社内業務)
- 賞与支払い
- 社会保険料の算定基礎届提出
- 全国安全週間 (対社外業務)
【労務】
- 労働保険の年度更新 申告・納付
- 社会保険の算定基礎届 提出
- 6月分の社会保険料の納付
- 労働者死傷病報告の提出(休業4日未満の労働災害等、4~6月分)
- 賞与支払届
【税務(経理)】
6月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
【7月まとめ】
1月~6月分の源泉徴収所得税額(納期の特例を受けている場合)
算定基礎届は、4~6月に支払いした給与をもとに作成するため、事前に準備しておくと7月の工数を減らせます。
賞与支払届を含め、社労士事務所や税理士事務所に外注しているケースもありますが、社内情報はある程度取りまとめておく必要がありますので注意しましょう。
8月
【総務メイン】
- 緊急連絡網の作成
- お中元の礼状発送
- 新入社員フォロー
- 社員の夏期休暇の準備調整
- 食品衛生月間 (対社外業務)
- 防災訓練の準備
- 夏季休暇中の社内体制 (対社内業務)
【労務】
7月分の社会保険料の納付
【税務(経理)】
7月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
消費税の中間申告と納付
【8月まとめ】
夏期休暇に入る前に、現場や人事部と連携しながら新入社員フォローをするのが理想です。
夏に帰省して両親や旧友と会い、仕事に対するモチベーションが上がる人もいれば下がる人もいますので、もう一度自社の魅力や働く目標を共有しておくとよいでしょう。
9月
【総務メイン】
- 防災訓練の実施
- 交通安全対策の推進
- 厚生年金保険料の改定
- 社会保険料の控除額変更
- 健康増進普及運動
- 障害者雇用支援月間
- 人事異動に向けての準備 (対社内業務)
【労務】
8月分の社会保険料の納付
【税務(経理)】
8月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
固定資産税(都市計画税)(第2期分)の納付
【9月まとめ】
防災訓練や交通安全対策は消防署や警察からアナウンスがある場合もありますので、情報を仕入れておきましょう。
避難経路の確認や、社用車のメンテナンスをすることも重要です。
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/index.html
10月
【総務メイン】
- 内定式
- 内定者懇親会 (対社内業務)
- 制服の衣替え
- お歳暮送付先のリスト作成
- 全国労働衛生週間 (対社外業務)
- 健康強調月間
- 高年齢者雇用支援月間
- 中小企業退職金共済制度加入促進強化
【労務】
- 9月分の社会保険料の納付
- 労働保険料(第2期分)の納付(延納申請をした場合)
- 労働者死傷病報告の提出(休業4日未満の労働災害等、7~9月分)
【税務(経理)】
- 9月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
【10月まとめ】
10月に内定式を実施する企業が多いため、懇親会や研修会の企画も含めて見直しておきましょう。
また、衛生管理者資格のサポートを受けながら安全衛生会議を実施することも多い月です。
11月
【総務メイン】
- お歳暮の手配・発送 (対社内業務)
- 労働時間適正化キャンペーン
- 職業能力開発促進月間
- 秋の全国火災予防運動 (対社外業務)
- 新入社員の教育
- 冬季賞与の計算
【労務】
- 10月分の社会保険料の納付
【税務(経理)】
- 10月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
- 3月決算法人の法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税の中間申告・納付
【11月まとめ】
11月は、内定式と年末処理の間に挟まれ、比較的落ち着きやすい月です。
このタイミングで社内体制の変更や働き方改革を実行する企業が多く、抜本的な改革をしやすい時期だと分かります。
12月
【総務メイン】
- 賞与支払い
- 年賀状送付先のリスト作成及び発送 (対社外業務)
- 年末大掃除
- 緊急連絡網の作成
- 年末調整手続き
- 年末年始休暇に向けての準備 (対社内業務)
- 歳末たすけあい運動
【労務】
- 11月分の社会保険料の納付
- 賞与支払届
【税務(経理)】
- 11月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付
- 固定資産税(都市計画税)(第3期分)の納付
【12月まとめ】
12月は仕事納めや大掃除といった、一年を締めくくる行事が沢山あり総務部門もバタバタする時期となります。
しっかりと一つ一つ丁寧に焦らず業務を進めていきましょう。
早速、月ごとの総務関連業務・イベントをチェックしていきましょう。
自社に当てはまる項目も探しながらイメージすることがおすすめです。
年間スケジュール策定に便利!フォーマットが入手できるサイト4選
最後に、年間スケジュール策定に便利なツールを紹介します。
管理方法に困っている企業の助けとなるツールばかりですので、自社と相性のいいものを探していきましょう。
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総務の不定期業務
- 在留確認
- 税務調査
- 資料せん
- 必要なら社員旅行手配
- 休日カレンダー作成
- 36協定書を監督署へ提出
総務年間スケジュールまとめ
年間スケジュールを策定しておけば、事前準備や工数計算に役立ちます。
やるべきことが可視化されるため抜け・漏れの防止にもなるでしょう。
自社独自のイベントや社風に合わせた企画なども書き加え、定期的にメンテナンスしながら運用していくのがポイントです。