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事例 株式会社デンソー|叡知チャットコンシェルジュを4万6千名への全社展開、29部署での大規模運用による社員のエンゲージメント向上へ

インタビュー

【総務部】

  • 総務部 IA室 片山 美穂様
  • 総務部 IA室 西脇 典子様
  • 総務部 IA室 岩田 友梨様
  • 総務部 IA室 井野辺 亮介様

(IA室は、2022年1月の組織再編により総務企画室となりました。)

【ITデジタル本部】

  • ITデジタル本部 データ活用推進室  加藤 滋也様
  • ITデジタル本部 データ活用推進室  西森 めぐみ様
  • ITデジタル本部 ITデジタルソリューション部  林 聖子様

会社概要

  • 業種    :自動車部品メーカー
  • 事業内容  :自動車関連、生活関連機器、産業機器 など
  • 導入サービス:叡知チャットコンシェルジュ powered by BEDORE
  • 導入目的  :問い合わせの自動化、工数削減ならびに高付加価値時間の創出

 

会社、ご担当者様の紹介

ー 会社概要について教えてください。

デンソーは、連結約17万人、単独約4.6万人の社員を有し、先進的な自動車技術、システム・製品を提供する、グローバルな自動車部品メーカーです。

 

 

 

 

 

ー みなさん、どのようなミッション、業務を担っていらっしゃいますか?

【総務部】

片山様:私は総務部インナーアクティベート室(IA室)という社内活性を担当する部署に所属しています。IA室では「社員の活力向上」をミッションとしており、社員と会社のエンゲージメントを高めていくための様々な施策を企画、実行しています。

西脇様:私も片山と同じ部署に所属しています。IA室では社員が日頃働く上で感じている困り事や煩わしさを解消し、本業に専念していただく、そして自社を好きになっていただくことがミッションの一つです。直近ですと、弊社で従来から開催していた「ファミリーオープンデー」(デンソーを知ってもらうために社員の家族向けに開催するイベント)をオンラインで開催するなど、意欲的な活動をしています。

【ITデジタル本部】

加藤様:私はITデジタル本部の中で、全社のAI相談窓口を担当しています。AI相談窓口は2020年6月に立ち上がったチームで、AIに関連する各種様々な問合せについて相談を受けています。

西森様:私は全社AI相談の中でも特にチャットボットの活用促進を担当しています。

林様:私は全社のDX相談窓口担当として、社内ITシステム全般の相談を受けています。弊社のDXを推進するために2020年9月に発足した新しいチームです。

 

 

 

 

 

チャットボット導入の背景

ー チャットボットを検討されるようになった背景を教えてください。

【総務部】

片山様:コロナ禍の影響で、在宅勤務が可能な社員は日常的に自宅から業務を行うようになりました。この様な状況の中で、周囲の人に気軽に質問することが難しくなった、という困り事が多く寄せられました。これらの社員の困り事に寄り添い、解決するために、人が介在せずとも問い合わせの真意を理解し、共に解決に向けて伴走する、問い合わせの「自働化」を目指していこうとなったのが大きなきっかけです。

また、問い合わせを受ける社員にとっては、類似の質問が数多く寄せられるなど、その対応への高負荷も問題となっていました。問合せ対応業務の負荷を減らし、より創造的な業務を担って欲しいという思いから、AIが対応できる部分はAIに任せていこうとなりました。

【ITデジタル本部】

加藤様:AIに関する相談が多数ある中で最も多かったのがチャットボット関連でした。その中でも、今回の対象である庶務業務効率化の相談が一番多い状況でした。

 

 

 

 

 

 

チャットボットサービスの選定

ー どのような流れでサービスを選定していかれましたか?

【総務部】

片山様:多数のチャットボットがある中で、社内向けサービスを幅広く展開している叡智チャットコンシェルジュが我々の目に留まりました。並行して他社も検討していましたが、ITデジタル本部と連携し、それぞれの精度を比較して判断しました。

ー ITデジタル本部で見た具体的な選定ポイントについて教えてください。

【ITデジタル本部】

加藤様:チャットボットの活動が本格始動し、弊社に在籍するAI専門家より勧められた1つが叡知チャットコンシェルジュ powered by BEDOREでした。他社製品を含め複数候補があった中で、主に4つの観点で選定を進めました。それが、①応答性能 ②機能面 ③コスト ④使いやすさ の4点です。

私や西森はAIとしての応答性能を確認し、林はITシステムとしての機能面を確認しました。さらに、コスト面に加えて、実際にユーザーに利用してもらい意見を収集していきました。ユーザーとしては、運営・管理者側と、問合せ者側の両方の視点から評価をしました。

 

 

 

 

 

ー 叡知チャットコンシェルジュ powered by bedoreに決めていただいた理由を教えていただけますでしょうか?

【ITデジタル本部】

加藤様:選定の最終段階で3社のAIチャットボットを比較し、それぞれに同じFAQを入れて精度を確認しました。具体的には「返答できて当たり前な質問」「返答できないであろう質問」「返答できるかどうか曖昧な質問」の3つに領域を分け、質問を投げかけた際の応答精度を見るというやり方です。そこで、特に「返答できるかどうか曖昧な質問」に対する回答精度が高かったのが、叡知チャットコンシェルジュ powered by BEDOREでした。

林様:他にも、機能面では「Must」「Want」で要件一覧を作成し○×で機能の有無を確認していきましたが、Must機能は網羅していることはもちろん、Want機能で最も◯が多かったのが決め手でした。

ー 性能と機能の充実性以外で良かった点はありますか?

【ITデジタル本部】

林様:あとは何よりも、使いやすさです。ユーザーとのチャットログを一画面で確認することができ、メンテナンス作業においても、作業と画面の表示がしっかり連携しており、欲しい機能、必要なボタンがすぐそこにある画面設計でした。

加藤様:先ほどの4つの観点を総合的に見て、最後は叡知チャットコンシェルジュ powered by BEDOREに決めたという流れです。

 

 

 

 

 

リリースまでの構築工程

ー リリースまでの流れについて教えてください。

【総務部】

片山様:2021年1月に本プロジェクトが発足し、約10か月の準備期間を経て、同年11月に全社展開を迎えました。単独で約4.6万人の社員を抱える弊社では、社内の困り事がとても広範囲にわたり、最初から全ての困り事にチャットボットで対応することは現実的ではなかったため、本プロジェクトは「小さく始めて大きく育てる」ことをモットーにしておりました。そこで、まずは本プロジェクトの立ち上げを行った総務・人事本部の担当領域中で、特によく問い合わせを受ける優先順位の高い項目をピックアップし、FAQ化をしていきました。

また、10か月の準備期間の間に、計3回の試行を実施しました。初めての試行は4月に実施し、この時点で6部署のFAQを登録しました。それぞれの試行では、ユーザーによる利用→アンケート実施・解析→課題の抽出というサイクルを回し、その課題を解決して次の試行を迎えるという流れでした。結果として、2回目の試行では15部署、3回目では29部署にFAQを登録していただき、全社展開までに、トータル1,600件のFAQを登録することができました。

ー 関係部署:29部署、FAQ数:1,600件は圧倒的な規模での展開になりましたね…!

【総務部】

片山様:そうですね、しかしながらFAQを登録して終わりではなく、そこからの運用が非常に大切なので、関わる部署が増える毎に、運用のためのチューニング作業について我々事務局が各部署の担当者へレクチャーをしました。

西脇様:関係部署が多い分、部署によってFAQ作成やチューニングの進捗度合いもバラバラで、そこをどのように統一化していくかが課題でした。そのため、FAQ作成やチューニングにおける社内マニュアルを作成し、なるべく均一化できるよう工夫しました。今では、各部署内で確実に運用が回せる状態で全社展開を迎えることができたので、本当に良かったと思っています。

 

 

 

 

 

ー 全社への展開・PRはどのように行われましたか。

【総務部】

西脇様:まず、社員が日常的にアクセスする社内のイントラネット上にチャットボットの告知をしました。他にも、Outlookのメールアドレスを持つ社員に向けて定期的に配信している社内メルマガで、「チャットボットを始めます!」と周知しました。

あとは本社や工場の食堂に設置されているモニターに電子チラシを掲載するなど、本社だけでなく、各工場に勤務する社員にもチャットボットを認知してもらうよう、あらゆる方法でPRしました(笑)

加えて、先ほど片山が話した本プロジェクトの「小さく始めて大きく育てる」というモットーをユーザーの皆さんにも知ってもらうため、チャットボットオリジナルのゆるキャラ「デンしぇるじゅ」を創りました。我々は、チャットボットを利用したユーザーのフィードバックをシステムに反映させ、精度を上げていきたいと思っています。システムと共に、キャラクターも成長するというコンセプトで、卵に入った赤ちゃん、子ども、一人前になっていく過程を楽しんでもらいたいです。成長するキャラクターに愛着を持っていただき、よりフランクにチャットボットを使っていただける意識が全社に浸透すれば嬉しいです。

デンしぇるじゅの成長と共にAIの精度も向上していくのは非常に面白い施策ですね!

西脇様:ありがとうございます。新規FAQの追加やチューニング作業などのアップデートをもとに、数ヶ月単位で、様々なパターンのデンしぇるじゅをアイコンに設定していく予定です。こういった点も、社員の皆さんがチャットボットを利用する上での楽しみの一つになればいいなと思っています。

【ITデジタル本部】

加藤様:我々は相談に来られた方々向けにチャットボットを利用し、育ててもらう意識づけをしていきました。総務部の方にも説明いただきながら、二人三脚で拡めていきました。チャットボットの計画を紹介すると、基本的に皆さんポジティブな反応をされ、期待感を持っていただくことが多かったです。

西森様:あとは、つい最近全社ITフェスティバルというITデジタル本部企画のイベントがあり、そこでチャットボットの実演をさせていただきました。多くの社員が参加したイベントでしたので、良いPRの場になったと感じています。

 

 

 

 

 

 

 

リリース後の感触

ー リリースからこれまでで感じた導入効果はありますか。

【総務部】

西脇様:2021年11月1日にリリースをしてから現在まで、チャットボットに1日あたり100~200件ほどの問い合わせが来ています。そのうちアンケートで「役に立った」と回答いただいているのが全体の70%程度なので、非常に順調な滑り出しだと思っています。

片山様:あとは、弊社各部署には「書記」と呼ばれる、一般的なサポート業務を担当する従業員が所属しているのですが、書記達からすでに「よく利用している」という声をもらっていますね。これまで書記が担当していた問合せ対応業務の負荷を減らして、より本業に集中してもらえると嬉しいです。

【ITデジタル本部】

加藤様:回答が非常にスムーズで速く返ってくる印象があります。質問時に途中まで単語を打てば、FAQがサジェストされる機能もあるので、これからFAQを拡充していけばますます利便性が高まっていくんだろうなと感じています。

 

 

 

 

 

ー リリース後、叡知チャットコンシェルジュの運用管理の状況はいかがでしょうか。

【総務部】

片山様:今、各部署で少なくとも約2〜3名ずつ運用に関わっているので、全社で見ると大体100名弱のメンバーがチャットボットの管理・運用のために尽力しています。

ー 100名弱…!非常に大規模ですが、担当の皆様の反応はいかがでしょうか。

【総務部】

片山様:はい、弊社でもトップクラスで規模が大きいプロジェクトです。将来的な工数削減が見えているので、担当者たちも前向きに「こんな宣伝をしたらどうか」「こういう場所に設置したい」等意見を出し合っていますね。初めは製品に馴染みのなかったメンバーも、今では「これが育ったら絶対便利だね」といった声をあげて意欲的に取り組んでいるので、非常に嬉しいです。

ー サービス選定からリリースまで一区切り付いたタイミングですが、叡知チャットコンシェルジュのサポートや、メンバーについての印象・感想を教えてください

【総務部】

片山様:まず、サービスの第一印象は「明解」「シンプル」でした。FAQの登録やメンテナンス含め、わかりやすいと感じていました。たとえ不明点があっても、困った時すぐに頼れる皆様で、聞きやすく、レスポンスが速いことが大変助かっています。他社事例も共有いただけるので、そこを参考にして、弊社独自でどうしていくかを考えることができています。

西脇様:細やかなサポートをいただき、すごく心強いです。わからないこと、一度確認したことを聞いても丁寧かつ迅速に教えていただけるので、安心しています。

 

 

 

 

 

 

今後の展望

ー 最終的な目標値があれば教えてください

【総務部】

西脇様:自己解決率(チャットボットが解決できた割合)向上、利用者数の増加、問い合わせ数削減の3つを追っていきたいです。問い合わせ削減に関しては、大体2025年までに、各部署への問い合わせが半減するようなイメージを想定しています。

ー その他今後の展望や展開予定について教えてください

【総務部】

片山様:上述の目標達成はもちろん、新しいメンバーに向けた、弊社を知るマニュアルとして活用していきたいとも考えています。コロナ禍で入社した社員は、在宅勤務が主流な今、誰にどう質問していいかわからない状況にあります。そんな中で、チャットボットが頼れる存在になってくれるのが理想です。

西脇様:また、今後はメール問合せ機能の導入・活用を検討しています。チャットボットで解決できなかった場合、やはり担当者に直接聞ける動線はあった方が良いという声が多数あがっていることもあり、この点は積極的に考えていこうと部内で話し合っています。

 

 

 

 

 

最後に一言お願いいたします。

【総務部】

当初はチャットボットに馴染みがなく、このプロジェクトと共に知識を増やしていきました。全社展開にあたっては、エイチの皆様をはじめ、社内の多くの部署のサポートのおかげで実現出来たと思います。しかし全社展開は1つの通過点です。今後いかに社員にとって「日々の業務の中で当たり前に使ってもらえる」存在になれるかが鍵だと考えますので、定期的に社員の声を聞きながら、「あって良かった!」と言ってもらえる様なシステムを目指していきたいと思います。

【ITデジタル本部】

「チャットボットとは何?」というところからスタートし、チャットボットを試行させてもらってから、性能の良さを体感しました。これからデンしぇるじゅの成長とともに、どんどん普及させることができればと思っています。

普及に向け、AIは導入から約1年間が大変だと感じています。ここからが本番だと思っていますし、全社に広げていく非常に重要な時期でもありますので、ぜひ引き続きご支援いただければありがたいです。

以上、ありがとうございました。

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