管理部門のひとつとして、「総務部」と「労務部」が挙げられます。
しかし、企業によって総務部署内の労務課であったり人事労務部であったり、表現が異なります。
そのため、総務と労務の正確な役割の違いを把握しきれていない人も多いのではないでしょうか。
今回は、総務と労務の違いを解説します。
仕事内容の違いや仕事を円滑に進めるポイントも紹介しますので、管理部門勤務の方は是非参考にしてみてください。
総務とは
総務とは、自社で働く社員たちの業務パフォーマンス向上を目指して働く部署です。
ルーティンワークの比率が高いと思われがちですが、実は組織運営や仕組みづくりを手掛けることが多く、近年は「戦略総務」としての役割も期待されています。
関連記事:総務・経理・労務の違いとは?それぞれを役割と仕事内容を詳しく解説!
総務の仕事内容
総務の仕事内容は、多岐に渡ります。
最もイメージしやすいのは、一般事務のようなルーティンワークです。
・複合機やプロジェクターなどオフィス機材の管理
・ポストイットやボールペンなど事務用品の管理や発注
・代表回線への入電対応
・動産及び不動産の管理
・会議室や社長室などの施設管理
・来客へのお茶出しやアポの取り継ぎ
などが挙げられます。
関連記事:総務のお仕事、実際はどんなことをするの?必要スキルややりがいまで徹底解説
また、「戦略総務」として組織運営の最適化を図る取り組みも行います。
・社内コミュニケーションツールの導入
・グループウェアや社内ポータルサイトの運営
・社内報の作成
・働き方改革やワークライフバランス向上への戦略考案
・オフィス移転やサテライトオフィス構築
・社員総会や株主総会の企画及び実施
・安全衛生委員会の実施
経営層が抱く理念を現場に浸透させたり、現場からの意見を経営に活かせるよう情報共有するなど、パイプ役として働くことも多いのです。
関連記事:【保存版】総務部の「年間スケジュール」と業務が一目でわかる!
労務とは
労務の仕事も総務同様多岐に渡りますが、自社人材に関する事務手続きを中心に行うのが特徴です。
労務の仕事内容
・健康保険や厚生年金への加入及び喪失
・雇用保険への加入及び喪失
・扶養家族の追加(削除)手続き
・産前産後休業手当金や育児休業給付金の申請
・傷病手当金の申請
・限度額適用認定や高額療養費制度の申請
・離職票や退職証明書の発行
・労務トラブルや労働審判への対応
・就業規則や給与規定の策定
・メンタルヘルスチェックや健康診断の実施
など、従業員が自社で働く環境を整えるのが仕事です。
従業員が安心して働くための組織づくりに貢献する立場であるため、労働基準法はもちろん、各種法案や法制度に関する知見が必要です。
企業によっては、給与計算を労務が行うこともあります。
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総務の仕事を円滑に進めるためのポイント
次に、総務業務をより円滑に進めるためのポイントを紹介します。
業務効率の改善や労働時間削減にも役立ちますので、自分の業務を見直しながら取り組んでみましょう。
他の総務社員がどう工夫しているか学ぶ
共に総務で働く上司・同僚・部下がどう工夫しながら仕事に当たっているか、観察しながら参考にしてみましょう。
そうすることで、自分にはなかった発見や新しい気づきを得ることができます。
また、社内メンバーだけでなく社外で総務職をしている人の意見を参考にするのもよいでしょう。
総務職同士の横繋がりができていれば、さまざまな発見ができそうです。
他社事例を参考にする
同業他社がどのような総務戦略を打ち出しているか、どんな社内改革に踏み切っているのか調べてみましょう。
また、同業でなくとも参考にできる事例があればどんどん取り込んでいくのが理想です。
そのためには、総務に関する情報を収集し、複数の事例集や案件集に目を通すのが近道です。
目の前の仕事に追われて多忙な毎日を送るなかでも、自ら情報収集するハングリー精神だけは忘れないよう心がけましょう。
公正な視線で会社を見つめ直す
総務の業務を行うためには、社内外に関する公平かつ公正な視線が欠かせません。
経営層と距離が近いため経営寄りの考えになりすぎて現場を蔑ろにしては本末転倒であり、反対に現場目線が強すぎて経営への理解が欠けていると、本来期待されている総務としての役割を果たせなくなってしまうでしょう。
現場と経営層のパイプ役として機能するためには、特定の考えに偏りすぎないようインプットとアウトプットを重ねていくことが重要です。
コミュニケーションを蔑ろにしない
民間企業の一員として自社の発展や成長に貢献すると共に、社員がエンゲージメントの高い状態で働けるよう施策を練っていくのも、総務社員の仕事です。
社外だけでなく社内の人とも密にコミュニケーションを取り、総務が何を期待されているのか、現場(もしくは経営層)にどんな役割を期待するのか、相互に意見を交換し合いましょう。
時と場所を選ばず便利に活用できるコミュニケーションツールを使うことはもちろん、時には対面のコミュニケーションも重視しながら対策していくことが重要です。
関連記事:企業における総務部の役割とは?総務部の具体的な仕事内容と理想像を解説
総務労務向けメディアを3つ紹介
最後に、総務・労務向けのメディアを紹介します。
最新情報をキャッチしたり他社事例を参考にしたりする際に役立ちますので、スキマ時間を活用しながら目を通してみましょう。
月刊総務
月刊総務は、株主総会月刊総務から刊行されている月刊誌です。
総務部門の業務に関する記事を複数掲載している雑誌であり、複雑化する総務業務を分かりやすく説いてくれるのが特徴です。
現在は「月刊総務オンライン」も提供しており、法改正に関する旬な情報から、社労士・弁護士・労働基準監督署職員など専門家によるコラムなど、さまざまなコンテンツを発信しています。
総務の森
画像引用:https://www.soumunomori.com/
総務の森は、文具・オフィス家具用品メーカーである株式会社コクヨが運営する、総務担当者向けのコミュニティサイトです。
総務・人事・経理・企業法務に関する相談を個人が投稿できるのが特徴であり、専門家だけでなく実務担当者などさまざまな人材が質問に回答してくれます。
また、400名を超える社労士や税理士が登録しており、個別に相談したい案件がある人は専門家をサーチすることも可能です。
業務に役立つ書式テンプレートや実務事例集のダウンロードもできるため、幅広い運用ができるメディアだと言えるでしょう。
戦略総務Mag.
画像引用:/
戦略総務Mag.は、株式会社エイチが運営する総務向けオウンドメディアです。
ルーティンワークとしての総務機能よりも戦略総務としての機能に着目してコンテンツを配信しているのが特徴であり、総務DX推進のためのサービスや各社の働き方改革・テレワーク促進施策事例などを紹介します。
また、オフィスコストの削減やオフィス移転に関する戦略事例も豊富にピックアップしており、自社が抱えている問題の根本を掴むヒントが隠されています。
より時代に合った総務機能を樹立したい企業は、是非参考にしてみましょう。
それぞれの違いを明確に理解しよう
総務と労務の業務は一見似ているように感じられますが、実は役割や機能が異なります。
組織運営の最適化を目指すのが総務、自社社員が安心して働けるよう法律や制度に基づいて処理を行うのが労務、と考えるのが分かりやすいでしょう。
今の時代の総務に何が期待されているのか、どんな役割を果たせば自社に貢献できる総務になるのかを考えながら、違いを明確にしていきましょう。