実際に総務業務をしていて、どのようにしたら仕事の効率化ができるのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事は、総務を担当されている方が日頃の仕事を効率的にこなせるように、少しでもお力になれたらと思い執筆した記事です。
今回は、そんな総務担当の方に業務効率化のポイントや実際の成功事例などを交えながら説明します。
総務に求められる至上命題「業務効率化」
現代の社会では、新型コロナの影響などによって、よりいっそう労働者不足が目立ちます。労働者不足を解決する為にも、企業の総務担当は業務の効率化を強く求められる時代になりました。
今の総務は、普段何気なく行っている仕事の無駄を減らすことや、業務改善によるコストの削減、より重要度の高いタスクに労力をつかえるようにするなど、業務効率化も目的とした企業の成長が求められています。さらに、会社の命ともいえる従業員にも総務の仕事は深く関係しており、業務効率化を実現することで「従業員のモチベーションアップ」にも繋がります。
従業員は、自分の仕事によって会社の売り上げや利益の増加を実感することで達成感を味わうことができ、ワークバランスの適切な管理をすることで企業から優秀な人材が離れにくくなるといったメリットもあります。
総務が行う業務効率化の進め方
それでは、総務の仕事を効率化するためのアイデアを説明していきます。
業務の現状把握
業務の効率化で重要な事は、現在の状況を把握することです。
例えば、以下のようなものです。
- 労働の工程や使用したツール
- 労働にかかった時間と、どのくらいのペースで行われるか
- 仕事に携わった担当名や人数
このように一つ一つ業務の全体像を把握することで、どのように修正すれば作業の効率化が可能になるかなどが判断しやすくなり、原因と対策が明確になります。
課題の抽出
実際に全体の状況を把握できたら、次に「課題」をみつけます。
その業務内容はどのように行われているのか、誰が行っているのか、しっかりと人員などが割り当てされているかなど、従業員が働きやすくスムーズに作業が行えるような環境作りや改善案を探していく必要があります。
万が一、改善案が見つからない場合は、実際に現場で働いている従業員に話を聞いてみるのが良いでしょう。
スケジュール計画の策定
従業員がタスクをこなす上で重要なことが「スケジュール計画の策定」です。
その仕事はいつまでに完了できるのかを決めることで、万が一、想定通りに進まずにスケジュールよりも遅れてしまった場合には、遅れた原因は何かを見つけやすくなります。
このようにスケジュール管理をすることで、完了までの予定時間と完了するまでに実際に費やした時間を比べることができ、作業の効率化を図ることができます。
業務改善策の実施
実際にどの業務を効率化しなければならないのかを社内で決めた後は、「ECRS(イクルス)」という改善4原則の指針が効果的です。
「ECRS(イクルス)」とは、以下の4つのことです。
- Eliminate/排除
業務を行う上で不要と考えられる工程を排除することを指します。排除することにコストはかかりませんので、まず最初に行うべき業務改善案です。
- Combine/結合
次に、一つ一つ行われている作業をまとめて行うことで、業務の効率化が図れないかを考えるのが「Combine/結合」です。作業を結合することで、人件費や個々のスキル節約に期待できます。
- Rearrange/交換
次に作業工程の見直しです。工程の順番を変えることで、格段に作業工数を減らすことができます。効率化において、この作業はとても大事な工程です。
- Simplify/簡略化・単純化
最後に、作業工程を減らしたり、作業を単純化することができないかを検討します。Simplifyによって、従業員のモチベーションや、精神や肉体的負担が解消される効果があります。
効果の確認
業務の効率化を行ったあとは、実際に効果が発揮されているのかを判断しなければなりません。
この際に使われる手法が「PDCAサイクル」といい、この手法を用いる事で効果的に判断できます。
「PDCAサイクル」とは、以下の4つのことです。
- Plan→改善案を計画
- Do→改善案の実行
- Check→実際に行った改善案の確認
- Action→改善案の評価をもとに、さらなら効果を求めた改善案の実行
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総務が行う業務効率化の具体的アイデア例
こちらでは、実際に総務が業務効率化を行う上で精度を高めるためのアイデアをご紹介します。
アイデア1:自動化
自動化することで人間が行う業務を省くことができ、労働時間の短縮化により人件費の削減ができます。仕事をする上で、人間が作業を行わなくてもできることは意外と沢山あるのです。
例えば、日常的な報告業務はExcelの計算式やマクロを用いることで自動計算することや、お客様からの問い合わせに対し、よくある質問は定型文を作成して対応するなどがあります。このように、自動化を進める事が業務効率化に繋がるのです。
アイデア2:業務自体を無くす
仕事の効率化をするのであれば、従業員の不要な仕事を無くすことが大切です。
例えば、テレワーク可能な業務でも、わざわざ出勤をさせて仕事をさせるなどが挙げられます。こういった時間の無駄を省くことで、従業員のモチベーション向上にも繋がります。
アイデア3:専門家のアサインで助言をもらう
業務効率化に関しての専門家に話を聞くことで、具体的にどこが無駄な作業なのか、どのようにすれば改善されるかなど、的確に判断することができます。
アイデア4:業務マニュアルの作成
業務マニュアルを作成することで、作業の正確性や新人教育のしやすさなど、現在行っている作業の不要な時間を省くことが可能です。その結果、作業の効率化に繋がります。
アイデア5:業務を分ける
業務を分担することで、従業員一人一人に対する作業の負担が減り、それぞれの役割に徹底することができます。さらに、一人一人の作業範囲を狭くすることで役割のトレーニングが行いやすく、即戦力として人材を育てることも可能です。
アイデア6:ヘルプデスクのbot化
先程も少し触れましたが、ヘルプデスクにあてる人件費は抑える事が可能です。それは、ヘルプデスクやカスタマーサポートの問い合わせ対応を、チャットbotにすることです。このツールを導入することで、人件費の削減に繋がります。
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総務が行う業務効率化の際の注意点
実際に、業務効率化を行う上で失敗してしまうこともあるかと思います。しかし、事前に失敗例を知っておくと防げることも沢山あるので、これから挙げる失敗例を事前に把握しておくとよいです。
作業スピードを求めるあまりクオリティが落ちる
従業員の作業スピードを早くすることも大事ですが、スピードを意識し過ぎてしまいクオリティが落ちてしまうことがあります。そうならないために、しっかりと従業員の作業時間を確保し、失敗した原因と対策を確認することが大切です。
欲張りにマルチに手を出して全てのタスクが中途半端な結果に
作業効率を意識して一度に様々な作業をすると、かえって逆効果になる事があります。原因としては、一つ一つのタスクが終了せず全てが中途半端に終わってしまうことです。
そうならないために、事前に担当者のスキルや作業時間、使用するツールなどをもとに、タスクの完了見込み時間を確認しておくことが重要となります。
検証をしっかり行う
実際に作業効率化の手法を試した後に、その評価と結果を知る事が大切です。効率化をしたつもりが、実際には従業員のモチベーションの低下などにより非効率となってしまう可能性があるからです。
先程お伝えした、「PDCAサイクル」をしっかりと活用することで、より精度の高い作業効率に期待が見込めます。
業務効率化の前に実現できる体制が整っているか確認
作業効率化の案を実現できる環境が整っているのかが、とても重要になります。いくら作業効率のアイデアを出したとしても、実現できる環境で無ければ意味がありません。
よくない例としては、職場の残業規制をすることで表面上は社員が定時に帰れているとします。しかし、実際にはその日のタスクが終わっておらず、資料やPCを自宅に持って帰って仕事をしているなどが挙げられます。現場の仕事状況も含め、事前に職場環境の確認をする事が大切です。
シェアの高いツールを導入して満足しただけで定着ができない
効率化を求めてツールを導入することは、間違ってはいません。しかし、そんな便利なツールを導入するだけで満足するのではなく、しっかりと従業員に使ってもらわなければいけません。
従業員にツールの使い方を理解させ、どのくらいの効率化が見込めるかなどを明確に分かってもらう必要がございます。そもそも使いにくいツールは従業員も使いたがらないので、導入する際にはそういった点も考慮するべきです。
目的が共有されておらず、手段の目的化が起こる
作業効率を従業員に行ってもらうにあたって、そのマニュアルに沿って仕事をすることが従業員の仕事の目的となってはいけません。
そうなると、目の前の作業のみを目的と考えてしまい成果が出ない可能性があります。ですので、しっかりと作業効率を行った先の生産性向上や、真の目的を従業員に理解させる必要があるのです。
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総務の業務効率化事例 他社の成功から学ぶ
実際に総務の業務効率化に成功している企業を、事例と共に2社ご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
株式会社白崎コーポレーション
白崎コーポレーションは、資源保護を目的としたリサイクル事業をメインとした緑化事業を展開している企業です。この企業は、自然の事業を展開しているため、環境問題による情報やリサイクル事業の効率化の情報蓄積が必要不可欠でした。
そこでSFA(営業支援ツール)を導入し、作業担当が変わった際にもしっかりと何年も前の情報を正確に引き継ぐことを可能にしました。その結果として、会社全体の強みや弱みが把握しやすくなり、それぞれの担当マネージャーの負担が大幅に改善されたのです。
三井住友海上火災保険株式会社
この企業は、様々な保険を扱っている会社です。働き方改革もあり、業務効率化ツールとしてRPAやExcelVBAを導入しました。そうすることで、各方面の業務自動化が進み、全体で毎月1200時間の労働時間の削減に成功してます。
さらに、この企業は残業時間の管理や在宅ワークなども積極敵に取り入れており、今現在も企業全体の取り組みとして効率化を進めています。
会社の業務効率化は総務の腕にかかっている
今回は、総務の効率化を実例をもとに説明してきました。ご紹介した作業効率化の手法を実際に試してみて、成果と課題対策を繰り返す事がとても重要になります。
最後にお伝えしたいことは、作業の効率化をしっかりと対応することで会社全体の売上や利益が上がることは確かです。なので、総務の腕が良い会社はこれからもどんどん成長していき、従業員も働きやすい環境に改善されていきます。その好循環を目指し、総務は作業効率化を怠らずに真剣に向き合ってみてください。