テレワーク制度を職場に導入するには、想像以上にコストがかかります。
社員に貸与するパソコンやスマートフォンなどの端末代、セキュリティ対策やインターネット環境にかける費用だけでなく、就業規則の改定や労務管理システムの変更にかける費用も必要です。
しかし、補助金や助成金を活用すれば、このようなコストを削減することが可能です。
今回はテレワーク導入時に申請できる補助金・助成金を紹介致しますので、検討している企業の方は是非目を通してみてください。
テレワークとは
テレワークとは、「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や職場を有効にできる柔軟な働き方」を指します。(引用:厚生労働省「テレワーク総合ポータルサイト」より)
Tele(離れた)とWork(働く)を掛け合わせた造語であり、会社から離れた場所で働く「リモートワーク」とほぼ同義の意味として活用されています。
オフィスコストの削減や災害発生・感染症流行時のリスクヘッジを目的に導入する企業が多く、働き方改革やワークライフバランスが注目を浴びて移行はテレワークを導入する企業の数が加速しています。
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テレワークを導入する際は補助金・助成金を利用しよう
テレワークを導入する際は、補助金や助成金を上手く活用していくのがおすすめです。
補助金とは、企業が成長するために不可欠な取り組みに対し、一定の金額を補助する目的で策定されています。
国や自治体の方針に従う企業に優先支給されることが多く、基準を満たすかどうか審査されるのが特徴です。
助成金も同様に、企業活動を支えることを目的として制定されています。
厚生労働省から支給される雇用関係の助成金と、経済産業省から支給される研究・開発関係の助成金に大きく二分されるのが特徴で、こちらも審査を経て支給されます。
どちらも返済義務のない資金であり、企業の大きな助けになることは間違いありません。
条件に当てはまるようであれば、利用しない手はないでしょう。
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テレワークを推進する補助金・助成金一覧
ここでは、テレワークを推進する補助金・助成金を1つずつ紹介します。
自社が条件に当てはまるか確認しながら目を通してみましょう。
働き方改革推進支助成金(テレワークコース)
働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)は、厚生労働省による助成金です。
時間外労働時間の削減やワークライフバランス推進のため在宅勤務やサテライトオフィス勤務を推奨する企業を応援するための助成金であり、テレワーク導入にかかった費用の一部が支給されます。
支給対象となる企業は以下の通りです。
業種 | 資本または出資額 | 常時雇用する労働者 |
小売業・飲食業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
テレワーク導入が難しい業種かつ中小企業を応援するための助成金であることが分かります。
支給額は、1企業あたりの上限200万円かつ社員1人あたりの上限20万円のなかから、かかった費用のうち最大2分の1です。
当初定めた成果目標を達成すればこの上限も増えますので、より高い金額を得られます。
関連記事:【令和3年度交付申請受付開始!】働き方改革推進支援助成金について
働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)も、厚生労働省による助成金です。
新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを導入する中小企業を応援するためのものであり、既にテレワークを実施している企業や交付申請日時点で緊急事態宣言下にない地域の企業は対象になりません。
支給額は、かかった費用のうち2分の1(ただし上限100万円)です。
パソコン・スマートフォン・ソフトウェア・クラウドサービス・サテライトオフィス利用費用だけでなく、就業規則改定や労使協定締結にかかった費用に充てることもできますので、使い道を確認しておきましょう。
テレワーク促進助成金
テレワーク促進助成金は、公共財団法人東京しごと財団による助成金です。
特に都内の企業においてテレワークの促進・定着を図るための助成金であり、申請は都内の中堅・中小企業に限定されています。
- 常時雇用する労働者が2人以上999人以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等
- 都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
- 都が実施する「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」に登録していること(実績報告時まで)
上記3条件を満たしていれば、申請が可能です。
支給額は、事業者の規模によって異なります。
事業者の規模 | 助成金の上限 | 助成率 |
30人以上999人以下 | 250万円 | 2分の1 |
2人以上30人未満 | 150万円 | 3分の2 |
基本的にはテレワーク機器やソフト等の環境整備にかかる経費のみに使用できる点に注意しておきましょう。
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金も、公共財団法人東京しごと財団による助成金です。
新型コロナウイルスの拡大防止のためテレワークを導入する企業を応援するための助成金であり、厚生労働省による「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」と性質が似ています。
- 常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等
- 都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
上記2条件を満たしていれば、申請が可能です。
支給額は、上限250万円以内であればかかった経費の100%を支給してもらえます。
テレワーク機器やソフト等の環境整備にかかる費用に加え、システムの保守委託などの業務委託料や導入時運用サポート費用に充てることもできますので、活用の幅が広い助成金です。
テレワーク・マスター企業支援奨励金
テレワーク・マスター企業支援奨励金も、公共財団法人東京しごと財団による奨励金です。
東京オリンピック開催時にテレワークをする企業を応援するためのものであり、最短1ヶ月から最長3ヶ月まで期間を指定しながら申請します。
- 常時雇用する労働者が1名~300名以下で、都内に本社または事業所を置く中小企業等
- 「テレワーク東京ルール」実践企業宣言に登録していること
- 所定の「計画エントリーシート」を提出していること
上記3条件を満たしていれば、申請が可能です。
支給額は、テレワークを実施する期間により異なります。
テレワーク実施人数 | 3ヶ月 | 2ヶ月 | 1ヶ月 |
70人以上 | 80万円 | 50万円 | 25万円 |
50人以上 | 60万円 | 35万円 | 15万円 |
30人以上 | 40万円 | 20万円 | 10万円 |
30人未満 | 20万円 | 13万円 | 7万円 |
小規模企業特例 | 10万円 | 7万円 | 5万円 |
実施期間が長くなる程支給金額も上がっていきますので、業務に支障のない範囲で長期的な取り組みにするのが理想です。
小規模テレワークコーナー設置促進助成金
小規模テレワークコーナー設置促進助成金も、公共財団法人東京しごと財団による助成金です。
新型コロナウイルス拡大防止のためテレワークに踏み切る企業や、特に打撃の大きい地域の個店や商業施設を応援するための助成金であり、身近な場所でのテレワークを推奨しています。
基本的には、常時雇用する労働者の数が300人以下で、都内に本社または事業所を置く中小企業等であれば申請可能です。
50万円を上限とする最大2分の1の費用を負担してもらえますので、活用していきましょう。
しかし、あくまでも地域の個店や商業施設などの小規模テレワークコーナーを設置するための費用にのみ使用できます。
在宅勤務や元々設置されているコワーキングスペース・サテライトオフィスを利用する場合はこの助成金の対象にならないため、注意しましょう。
また、個店や商業施設にボックス型サテライトオフィスを新たに設置し、企業を呼び込む地域の経済団体。商工会議所などへの助成金も設けられています。
関連記事:【テレワーク導入でもらえる補助金・助成金にはどのようなものがあるかご紹介!】
テレワーク補助金・助成金まとめ
テレワークを導入するのは、企業にとって大きな戦略転換になります。
せっくコスト・人手・社運をかけて導入するのであれば、補助金・助成金を賢く利用していきましょう。
例え少額であっても、その分の従業員の働く環境や顧客に還元できるチャンスがあるかもしれません。
まずは自社が対象になりそうな補助金・助成金を調べ、期限内に申請準備をしていくことをおすすめします。